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夏ということで、まさかの山車(だし)を自動車ライターがインプレする

修正舵はとにかく棒を押す。ひたすら押す

動き出しは少々渋く、というか推進力を得るのにやや難儀するが(特に微妙な上り坂である場合)、ひとたび動き始めれば、舵棒に付いている男衆は「棒に手を添えて少々力を入れるだけ」ぐらいの感じで十分となる。

巡航時速は推定3km/h、つまり健康な一般成人が歩く速度より少し遅い程度だ。もちろん、引き綱衆と舵棒の男衆が力を入れれば推定10km/h、あるいは15km/hぐらいの速力を出すことはできる。だがブレーキもサスペンションなく、「舵取り装置は長い木の棒だけ」という4t級の原始的車両でその速度を出すのはきわめて危険であるため、通常時の巡航速度はあくまで徒歩程度になるよう、男衆の人力ブレーキ(要は舵棒を進行方向とは逆方向に押さえつけること)によって、特に下り坂等では慎重に調整される。

そして操舵は、これまで繰り返し登場してきた「舵棒」によって行われる。90度のターンや180度の転回を行う際は、祭組リーダーの合図(それは声と笛で行われる)によって男衆が一斉にステアするのだが(要するに舵棒を左または右にうおおおおっ! と押す)、直線走行中の微修正においては、全体リーダーではなく舵棒にすがっている男衆数人のうちの、小隊長格の判断と合図によって行われる。

「ちょっと右に寄ってきたな! 左に修正すんべ!」
「おう!」
「んじゃあ行くよ? せえのぉ!」
「うぐおおおおおおおおおお!」

という感じとにかく棒を押す。ひたすら押す。

90度や180度ターンの場合は全体リーダーの合図によって舵棒のフロントセクション担当チームとリアセクション担当チームが同時に(逆方向に)押すため、比較的イージーにステアできるのだが、直進中の微修正はフロントセクションの数人だけで地味に行うため、これがかなりキツい。「超絶重ステ状態」である。

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