アウディR8GTに試乗 333台限定の走りは?
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏
先頃、日本に輸入され完売となったアウディR8GTだが、私はドイツで発表されて直ぐに試乗している。しかし今回CVへ寄稿するにあたって再度このリミテッド・エディションを路上に引っ張りだしてみた。
発売以来すでに5年が経過したV8エンジン搭載のR8に加えて、2009年から追加された、V10エンジンを搭載したR8 V10。このR8 V10をベースに仕立てたクラブスポーツバージョンがアウディR8GTである。
リアアクスルの直前に搭載されるV10エンジンの排気量は5204ccと変化はないが、ECUのチューニングで最高出力は35psアップの560ps、最大トルクは10Nm増しの540Nmへと僅かながらパワーアップしている。また、防音材を減らしリアウィンドーをガラスからポリカーボネート製に変えるなどの軽量化を徹底的に行ったおかげで、およそ100kgのダイエットに成功し、空車重量は1520kgとなっている。パワーウエイトレシオは2.71kg/psとエキゾチックカーの中でも特筆に値する。
ボディには新たにダウンフォースを得るためのスポイラーが追加されているが、特に1.9メートルのボディ幅いっぱいに広がったリアのカーボン製固定式ウィングは迫力十分で、追い越されたドライバーが追い越し返す戦意を喪失するに違いない。装着タイアはフロントに235/35R19、リアは295/30R19である。
メーカー発表のダイナミック性能は0-100km/hの加速が3.6秒、最高速度は320km/hとなっている。
フルバケットシートに体を押し込み、4点式のセーフティベルトで締め付けられると否が応でもレーシーな気分への高揚感を感じる。イグニッションをオンにすると後方から金属的なメカニカルノイズと同時にV10独特のバリトンがパッセンジャーの耳にフィルターを通さずに届く。シングルプレート・シーケンシャル・トランスミッションは普通の使い方ではシフトショックが大きくR8系の明らかな弱点だが、GTバージョンではエンジン回転数を合わせ、パドルを操作して、最小のショックでシフトを行った時には難しい機械を操ったという征服感を得られるスポーツギアとなるのだ。
R8GTはモータースポーツ・ベースとしてはまれな4WDを採用している。そのおかげでコーナーではミッドシップ・スポーツカーで良く起こる急激なリバースステアは、余程のオーバースピードでコーナーに進入し、急なステアリング操作か、荒っぽいスロットルワークさえしなければ、ほとんどニュートラルな姿勢でクリアすることができる。また超高速域での直進安定性も頑固オヤジのように頑なである。最高速度の320km/hにはアウトバーン上でも見通しの良い直線路で軽く到達し、そのまま加速をしていくとスピードメーターを振り切るほどであった。直線コースが終わるところでフルブレーキ、セラミック製のディスクブレーキは巨大なGフォースを発生し、パッセンジャーの身体に4点式セーフティベルトが食い込む。
R8GTは明らかにサーキットにおけるスポーツ走行、あるいはモータースポー参加を前提としたモデルであることは間違いない。けれどもこのR8GTが日常のドライブに使えないのかいえば、そんなことはないとはっきりと言える。確かにサスペンンションは固く、路面からの突き上げはたとえ1mmの凸凹でも体に伝わってくるような気がするほどではあるが。
けれどもミッドシップカーとしては異例な居住性の高さ、周辺視界の良さ、そして取り回しやすさは、イタリア製スーパースポーツカーよりはずっと合理性を感じさせる。それはR8がルマン24時間レースなどのロングディスタンス・レースで素晴らしい成績を残すことができたことが証明している。
R8が目指す究極の姿R8GTは333台しか生産されない限定販売バージョンである。
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