トヨタFCVミライ試乗、HVやEVとドコが違う?
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
デザインの上手さなのか、比較対象物が無いと小さいクルマに見えてくるが、実際は3サイズが4890×1815×1535mmなので中型セダン並みだ。特に後席は広く、落ち着き感のある内装の造りこみと相まって、後席に座ってもいいと思わせる高級感が備わる。
これだけで高級車的というわけではない。要は乗り味。水素タンクや回生エネルギーを蓄えるバッテリーがあり、車両重量が高級サルーン並みの1850kgもある。ドッシリ感をベースに、しっとりと上質に走る高級車的な乗り味があるのだ。しかもそれでいて、鈍重な感覚は抑えられている。
モーターは前だが水素タンクやバッテリーは後方にあり、スポーツカーもこだわる前後重量配分がとても良い。そこに高級車的乗り味を高めるボディ補強と、燃料電池スタックを守る為の補強が組み合わさって高いボディ剛性を実現。その結果、背が高く、重量もあり、スポーツカーのように走るなんてことは出来ないが、ハンドリングは素直で、気持ちよく曲がることができるのだ。
何よりも、気兼ねなくアクセルを踏めるのが嬉しい。実は電気自動車もガンガンにアクセルを踏める状況だと、加速は鋭いし、アクセル操作に対する反応がダイレクトで、走りがとても楽しい。しかし実際は、残りの航続距離を絶えず気にしつつ、踏み込むほどにバッテリーが速く減っていくのを見ると、踏むことに罪悪感が生じてしまう。心のブレーキが電気自動車で走りを楽しめない最大の要因なのだ。
燃料電池車はそこから解放される。もちろん水素を積める量には限りがあるが、満タンなら航続距離は600-700km弱。実走行をしてみないと未知数だが、少なくてもガソリン車などと同様に、踏みたいときにアクセルを踏める気軽さがあるのは間違いない。さらに、燃料電池からの電力供給量は潤沢で、電気エネルギーを大量に必要とするフル加速や高速走行も気兼ねなくできるのだ。
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