9速MCTを搭載する新しいAMG C 63は快適性重視のおっとり系
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:メルセデス・ベンツ日本 1
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:メルセデス・ベンツ日本 1
最高に面白かったのはトラクションコントロールダイヤルの調整によって、挙動が確実に変わることだった。ダイヤルをTCRがほぼオン状態にある「9」から「7」まで緩めると、これまで絞られていたアクセル開度が開くようになる。
エンジンサウンドは先代の自然吸気時代を意識した北米好みなターボサウンドから、ヨーロピアン好みな整ったメカニカルサウンドに変わったように思えた。ターボながらも回すほどに音色が澄んで気持ちが良く、アクセルを閉じればバリバリとアンチラグ的演出をするのはお約束である。
しかしこのくらいの状況では数値通りまだスタビリティコントロールの方が優勢で、自分の雑な運転をピカピカとインジケーターが知らせてくれるに留まる。
そこからさらに「5」まで行くと、ドリフトコントロールへの道が開けてくる。ただし基本的にはフロントにV8ユニットを搭載することからノーズが重く、これをゆったりとしたダンパーコントロールで制御するため、あまりドリフトしやすいクルマだとは思わなかった。
それはそうだろう。510馬力にもなるパワーと、総重量で2180kg(サルーン)にもなる車体の慣性重量を支えるためにスタビリティを上げるのが、AMGの狙いだったのだから。むしろ簡単に横を向かず前に進めるようになったことが、最大のトピックなのだ。
Vバンク内にタービンを納めるホットV式ツインターボのレスポンスはリニアであり、電子制御デフとリアサスによる安定性が高いことも相まって、むしろパワーがもっと欲しくなってしまう。細かいコーナーで無理矢理アクセルをがばっと踏んでドリフトするよりは、中・高速コーナーを高い速度で走りながら微細なアクセル操作で姿勢をコントロールする方が、気持ち良くC 63 Sの魅力が引き出せると感じた。
よってTCRダイヤルも、5以下のレベルを使わずに走った方が現状は速い。もしTCRをオフにして楽しむならば、アンダーオーバーを打ち消すために足回りを固める必要があるだろう。
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