ハマーH3、日本向け仕様 街で実際に乗ってみた!
掲載 更新 carview! 文:萩原 秀輝/写真:荒川 雅臣
掲載 更新 carview! 文:萩原 秀輝/写真:荒川 雅臣
とはいうものの、ハマーH3はエンジンを高回転域まで引っ張りながらアップテンポなリズムで走りたくなるような気分にならないこともまた事実だ。シャシーの設定も、スローテンポなリズムが合っている。ステアリングのギア比は乗用車的であり、ロック・トゥ・ロックも3.25回転と多すぎない。ただ、装着タイヤがオフロード性能も重視した仕様なので、ステアリングをアップテンポにスッと切り込んでも操作の通りには反応しない。それだけに、ステアリングはスローテンポでスーッと切り込んだ方が素直な応答性が得られる。その感覚はかなりの高速域まで維持され、フルタイム4WDシステムも手伝って安定性の高さにも結びつく。まあ、エンジン音よりも垂直に近いフロントウインドーが発生源の思われる風切り音が大きめなので、高速域でアクセルを踏み続ける気にはならないが……。というか、後方からハマーH3に高速域で迫られたら先行するドライバーはミラー越しでもかなりの威圧感があるはずなだけに、オーナーになられた方はその意味でもスローテンポなリズムを守ってほしいものだ。
あるいは、2008年7月から販売が開始されるハマーH3 V8を選んだ方がいいのかもしれない。5.3リッターのV型8気筒エンジンは434Nmという強大なトルクを発揮するだけに、アクセルを踏み込むまでもなく力強さが得られるはず。それが精神的な余裕となり優しい気持ちも生まれ、意識することなくスローテンポなリズムが守れそうだ。それでも周囲には十分な存在感を放っているので、そもそもあえて威圧するような走りをする必要がないだろう。
ただし、左ハンドル仕様しか選べない点が惜しいところ。ハマーH3のエクステリアは洗練された逞しさを感じさせるが、インテリアは意外なほどの高級感が漂う。サスペンションの設定は硬めながら、クッションの厚みを感じさせる柔らかなシートが不快感を伴うような突き上げを遮断し快適な乗り心地が確かめられる。それだけに、逞しさと優しさに憧れがちな女性を迎え入れるクルマとしてもハマーH3は打ってつけだ。とはいえ、ボディ全幅が広いために車道側から女性を乗り降りさせることになる左ハンドル仕様は不向き。そんな場合は男性がクルマから降りて女性をエスコートしてほしいし、クロスオーバー化したSUVとは異なる逞しさと優しさを兼ね備えたハマーH3だからこそそんな振る舞いが似合うと思う。
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