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プジョー208GTi。心躍る、とても罪深い存在

とても罪深い存在

ただ、本当に不思議だなと思うのは、そんな具合にすべてを時代に併せて進化させた優れた商品になっているにも関わらず、どこかにかつての205GTiにあったものと似た雰囲気が、確かに漂っていることだ。

改めて見てもそこには、プジョーというブランドと、属しているクラスと、シリーズの中のホットハッチというくらいしか共通項はないはずだ。けれどいつも生活の側にいて、何も特別な場所にいかずとも気持ちよく、操る楽しさを教えてくれる相棒であることに変わりはない。つまり存在感そのものに、大きな違いが感じられない。

もっともそんな風に考えるのはやはり、いまプジョー208GTiと対峙している僕自身が、過去の思い出にこのクルマを重ねているからなのだろう。でも、1980年代の終わりから1990年代の始まりにかけて、"イタフラ"にハマった世代ならおそらく、僕と同じように感じるはず。

しかもその世代にとって今、299万円というプライスタグはかつてより遥かに現実的になっているはずだ。薄れつつある美しい思い出を、再び味わえる208GTiというのは、とても罪深い存在だ。ただ、それだからこそ僕は、208GTiが気が気でならないのである。

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