日産GT-Rニスモ2020年モデルは2018オーナーが泣いて悔しがる完成度に達したが、それゆえに哀愁も漂う
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:日産自動車
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:日産自動車
まずは市街地の乗り心地がいい。日本で試乗した2020年モデルの基準車も乗り心地が洗練されていたが、それと同様の印象だ。大き目の凸凹では相変わらず鋭い入力が入るが、2018年モデルのように跳ねる感じはなく、助手席も日常のドライブに耐えられるレベルになったといえる。ハンドルも軽くなっている。
市街地ではその程度の差しか感じ取れないが、アウトバーンで追い越し車線を走ると進化の具合が鮮明になってくる。まず、ターボの立ち上がりが良くなって、クルマが軽くなった。そして速度が上がるに従い驚きは強まる。路面追従性が良すぎるのだ。
こんなにも鼻歌交じりで300km/hを出せる安定性は体験したことがない。超高速では微妙な起伏によりクルマが跳ね上げられてダウンフォースレベルが変わる。フワッと飛ぶような感覚と戦いながらアクセルを踏み続けるというのが、アウトバーン300km/hの世界だったはずなのに、その手の緊張感が一切ない。
背景には強烈なダウンフォース効果が挙げられるが、それ以前に、足回りの動き、恐らく軽量化が影響しているのだろう。グリップを生み出す足回りの動きは今までとレベルが違う。
そのアウトバーンも序章に過ぎず、サーキットの本気ドライブではさらなる驚きが待っていた。
2020年モデルだけでは「はえー」「スゲー」で終わってしまうだろうと、日産はGT-R ニスモの2018年モデルを比較車として用意した。結論から言うと2018年モデルオーナーには申し訳ないが、全てが違う、全くの別物。それも想像の倍は差があると断言できる別物感がある。
まずはブレーキのストッピングパワーが大きく違う。ブレーキを踏んだときにフロントだけでなくリアサスまで沈み込んでいるのではと思えるほどクルマが路面に張り付く感覚がある。そこからブレーキをスムーズに離せばジワッと路面から車体がブレーキ操作に連動して離れてくる素直さがあり、コントロールしやすい。2018年モデルはブレーキの最後の繊細なコントロール域で、減速力が抜けすぎてフロント荷重も抜けてしまうシーンがあったが、2020年モデルではブレーキタッチがまったく変化しない。コーナー進入では、まさに気持ち良く意のままに操れる世界がある。
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