アルト ワークスに試乗。走りの完成度やターボRSとの違いを詳細レポート
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:篠原 晃一 6
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:篠原 晃一 6
冒頭のスズキ広報氏の言葉にもあるように、10ヵ月という短期間でこのワークスを完成できた背景には、ターボRSの開発ノウハウによるところも大きいのだろう。
ターボRSはいわば“公道でも快適に走れる大人のスポーツアルト”を目指した。その開発途中には過激に走りがちな技術陣を、商品企画担当がたしなめる場面もあったと聞く。そうしたターボRSで蓄積されたアイデアやレシピの引き出しが、今回のワークスに活かされていることは容易に想像がつく。
100km/h以下の公道レベルではゴツゴツと上下しがちなワークスの乗り心地(ただ、とにかくボディが硬いので不快さはない)は、ターボRSの高級感すら漂うフラットネスに及ばないのも否定できない。ターボRSより明らかにレスポンシブで速い身のこなしを活かすには、それ相応の運転も必要だ。
なにを言いたいのかというと、ワークスはターボRSとの差別化のために、あえて過激な仕立てになっている部分もあるということだ。ワークスに乗っていると、山坂道でも5速までフルに駆使できるクロスレシオMTがこのうえない快感である一方で、硬軟を見事にバランスさせたターボRSの完成度にあらためて感心したりもするのだ。
というわけで「叶うことなら、ターボRSにも5MTを!」というベタな結論になってしまいそうだが、私も1台を買うなら、この5MTの快感を味わうためにターボRSではなくワークスを選ぶことになるだろう。価格はターボRSより20万円ほど高いワークスだが、レカロ2脚と入魂の5MTへのお布施と考れば、さほど割高感はない。
ここまで書いてきた細かいツッコミどころについては、自分で解決策を探すのも、この種のクルマの楽しみのひとつでもある。そう遠くない将来に、いろいろなアフターパーツも出てくるだろうし。
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