アバルト500に試乗!ガソリンが底を尽くまで
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:菊池 貴之
そこには最近の新型車に忘れられがちな、夢や希望や憧れ、興奮と熱狂が存分にある。アバルト、という名前には…。
最近は何だか自動車がエコエコしている。もちろんそれも大切だし、そこに新たな楽しさや気持ち良さがあることは分かる。だけどそれらを認める一方で、自動車の本質的・本来的な楽しさを忘れちゃいけないとも思う。アバルトは1950~60年代に名を馳せた伝説のブランドだけに、もちろん僕らはリアルには体験していない。それにも関わらず冒頭に記したような雰囲気を、僕らアバルト未体験世代が感じ取り想うこと自体、そこには時代を超えてもなお、自動車としての本質的な魅力が変わることなく備わっているという証であろう。何も知らなくても、アバルトはいきなり自動車の本質を教えてくれるのだ。
そんな感覚につながるかつてのアバルトの哲学は、むしろ今の時代に相応しくもある。当時ジャイアント・キラー、あるいはピッコロ・モンスターと言われたように、アバルトが手がけたマシンは小排気量ながら大排気量マシンを牛耳るパフォーマンスを発揮した。伝え聞くところによればそうした様が痛快だったのはもちろん、触れても痛快この上ないマシンだったという。
その哲学は一度斜陽となったものの、巡り巡って現代に相応しくリバイバル。新生アバルトもグランデプントやチンクエチェントといったピッコロ・イタリアンをベースとし、パワーユニットも1.4リッターと小排気量で意外や社会に負い目が少ない。しかも自動車としての楽しさ気持ち良さは大排気量車に負けていないどころか、より魅力的だ。いやインサイトやプリウスも確かに魅力的。でも僕は、「社会への負担を軽減しました!」と胸を張るインサイトやプリウスよりも、「負担を最小にして最高に楽しんじゃおうぜ!」という現代のアバルトの哲学がもっと好き、なのだ。
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