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【国産オラオラ顔がかわいく見える!?】 キャデラック エスカレード試乗記

これぞアメリカンラグジュアリー

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「フルサイズのアメリカンSUV」と聞くと、ほぼ自動的に「がさつ」「デカすぎ」「内装のフィニッシュとかがアメリカン(←雑であるということの婉曲表現)」などのフレーズが脳裏に浮かぶ方もいらっしゃろう。

だがそれらのフレーズは、キャデラック エスカレード スポーツにはあまり当てはまらない。

いや確かに、モノコックではなくラダーフレーム構造の上に全長5400mm×全幅2065mm×全高1930mmの馬鹿デカいボディを載せているエスカレード スポーツの走行フィールは、決して「緻密」ではない。またドライブモードの「OFF ROAD」が「ルート外」という謎の日本語に訳されてしまっている点は、「がさつ」と言えるのかもしれない。

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だが、まるでパナマ船籍の高級大型船がどんぶらこと海を行くようなニュアンスの走りは決して不快でもがさつでもなく、「これはこれで気持ちの良いものだな」と思える。また、先代では重量に負けていたと思えるブレーキも、現行型ではよく利く。いや「よく利く」というほどではなく、2740kgという車両重量のことを常に意識しながら加減速およびコーナリングをしないと、おそらくはドツボにハマるだろう。

とはいえブレーキは普通程度には利き、(ちゃんと減速すれば)コーナリング時に不安を感じることもない。またインテリアはフィニッシュがぜんぜんアメリカンではない(←ちゃんとしてるということの婉曲表現)ことに加え、デザインセンスも実に良好。上質なウッドと、絶妙に湾曲した有機ELディスプレイが織りなすセレブ的世界は、ほとんどゴールドマン・サックスの重役室だ。ゴールドマン・サックス社を訪問した経験は実はないのだが、たぶんそうだろう。

高級SUV界のM1エイブラムス戦車

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人によっては、トヨタ アルファードやレクサスLM以上の「オラオラ感」があるフロントマスクに拒否反応を覚えるかもしれない。だがオラオラ感もここまで突き抜けてしまえば、どこか「優しさ」に転じるような気もする。存在感や体格の次元が一般人(一般車)とあまりにも異なるため、いちいち一般人に「オラオラ!」などと、下品に2回も吠える必要がないのである。

あまりにも顔と体格と雰囲気が怖いため、びびって遠ざかる一般人に「いや私そんな怖い人じゃないんで、どうかご安心ください(笑)。あ、ハンカチ落としましたよ」と拾い、丁寧にホコリを払ったうえで手渡してあげる、身長188cm、体重100kgの筋肉質な男性。この車はそんな感じの人に近い。そして運転中はいっさい「オラオラァ!」などという気持ちにはならない。むしろマインド的には「豪華大型客船の船長さん」に近くなってしまう。

キャデラック エスカレード スポーツは、ラグジュアリーSUVの世界におけるM1エイブラムス主力戦車のようなものだろう。つまりは「最強」であり、「圧倒的」ということだ。圧倒的ゆえに、他者をわざわざ威嚇する必要がないのである。

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