「誰かにやってほしかった…」 CX-80に課せられたデザインの制約と苦悩、違いを生み出す工夫とは?
掲載 carview! 文:編集部/写真:小林 俊樹、マツダ 89
掲載 carview! 文:編集部/写真:小林 俊樹、マツダ 89
マルチソリューション化でバッテリーを含めエネルギーソースをフロア下に全て収めたことで、ラージ商品群では他社のように「PHEVだから荷室が出っ張っている」、「このシートタイプは選べない」、といった制約が一切発生しないように作られている。デザインコンシャスなマツダにあってデザイン要件は後回しなのは少々意外でもあるが、これがデザインの実情なのである。
「日本車はデザインが……」と揶揄する人間もいるが、彼らが作っているのは芸術品でもなければ一点ものの高級品でもなく、工業製品なのである。そこには当然コストと量産性いう高いハードルが待ち受ける。
「難しい食材、人が滅多に食べない食材をお客さんに出せるものにしろ、しかも『さすがうちのレストラン(※マツダらしい)』と言われるようにしなさい、と命令された気分でしたね(玉谷氏)」
氏の苦悩も頷ける。しかも、北米を中心に展開されるCX-70とCX-90では基本骨格が同じなので、バンパーの意匠などでキャラクター分けを行ったが、CX-80ではそれもできなかったようだ。そこで玉谷氏は発想を転換したという。
>>CX-80とCX-60のデザインの違いを写真でチェックする
玉谷氏が参考にしたのは、欧州のハイエンドモデルたちが持つ独特の存在感だ。
「ヨーロッパのプレミアムモデルの中には、ウェッジシェイプやシャープさなど、僕らがカッコいいと思っている要素がないのに、立派に見えたり佇まいが大人っぽく見える。無理してシャープに見せることをせず、これまでのマツダ車のような悪く言えば“子どもっぽいスポーティさ”を捨てて、持っている骨格をリッチに見せることにした(玉谷氏)」
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