欲しくても買えない…注文殺到で長納期化の「ランクル」や「ジムニー」。なぜメーカーは増産しないのか？

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工場は増設には莫大な投資が必要

ただ、実際には工場を新設することは簡単ではないようです。ある業界関係者は、その理由を次のように説明します。

「自動車メーカーが工場を新設する場合、数千億円規模のプロジェクトとなることがめずらしくありません。たとえば、ホンダは2024年4月にBEV生産工場の新設などのために、カナダに150億カナダドル（約1兆5000億円）もの投資を発表しています。

現地で行われた会見ではカナダのジャスティン・トルドー首相も同席するなど、もはやいち企業のプロジェクトを超えたものとなっていることがわかります。

実際、自動車メーカーによる工場の多くは10年以上にわたって操業し続け、長期的な雇用や税収が見込まれるため、行政機関や関連企業も巻き込んだ規模になることがほとんどです。

逆に言えば、10年以上先を見通さなければ、工場の新設を決断するということは難しいということになります。確かに、現時点ではBEVの需要は限られていますが、10～20年先にはそのシェアが拡大することは確実です。

その点で言えば、ジムニーノマドのオーダーが殺到したというのはあくまで局所的な事象であって、10年以上にわたって安定した需要があるかどうかは不透明です。そう考えると、ジムニーノマドのために工場を新設するという判断はできないでしょう」