ポルシェ「ケイマン」のルーツはココにあり！「911」の陰に埋もれた“FRポルシェの完成形” 「944ターボ」を振り返る

944ターボ

“911の影”に隠れた最良のFRスポーツ

ポルシェ944ターボは「1980年代最良のFRスポーツ」として、鋭い目を持つエンジニアや愛好家たちから高く評価されたモデルである。

「944」シリーズの中でも、ターボは最上級のパフォーマンスを誇った。1985年にデビューし、フロントに搭載された2.5L直列4気筒ターボエンジン（KKK製ターボ装着）は220ps／5800rpm、330Nm／3500rpmというスペックを誇った。

日本仕様やアメリカ仕様でもこの数値は共通で、O2センサーや三元触媒を備えるなど、時代に即した設計がなされていた。開発には4年を費やし、強化されたシリンダーブロックや鍛造ピストン、セラミック排気ポート、ナトリウム封入バルブ、水冷ターボチャージャーといった仕様により、当時としてはきわめて高い信頼性と完成度を備えていた。

過給圧は3000rpmで1.75bar（フルスロットル時は1.5barに抑制）、実際には2000rpm台からターボの効果を感じられる、扱いやすいセッティングがなされていた。