なぜトヨタは「F1復帰」と言わなかった? GRとハースが組む莫大なメリットと、そこに込めた豊田氏の想い
掲載 carview! 文:編集部/写真:トヨタ自動車 84
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WECやWRCも世界最高峰の舞台とは言え、やはり多くの人にとってF1というのは特別な場所だ。ドライバーだけでなく、エンジニア、メカニック……多くの優秀な人材が、世界最高峰の舞台で自らの実力を証明するために集まり、切磋琢磨しながら競い合っている。
今回業務提携をしたハースF1の代表を務める小松礼雄氏もその一人。
F1に憧れ、F1の本場であるイギリスに単身乗り込み、努力と実力でF1代表の地位まで上り詰めた人物だ。
会見で豊田氏は「小松さん自身、大きな夢を切り拓いていらっしゃる方ですが、その後ろには、自由に夢を追いかけさせてくれたお父様がいらしたとのことでした」と語り、さらに「小松さんも私も、『今度は、我々が子供達に夢を追いかけさせてあげられる“お父さん”になりたい』という気持ちを共有しました」と述べた。
つまり、TGRがこれまでレースを通じて行ってきた“人材育成”を世界最高峰の舞台でも行いたい、そしてF1を目指す日本の若者へルートを切り拓き、夢を与えたいというのが豊田氏の想いなのである。その想いが次の言葉に集約されている。
「F1撤退で、日本の若者が一番速いクルマに乗る道筋を閉ざしてしまっていたことを、心のどこかでずっと悔やんでいた(豊田氏)」
現在日本人ドライバーがF1に挑戦するには、ホンダの育成ドライバーとなり、角田裕毅選手のように数少ないチャンスをものにしてドライバーの座を掴み取るしかない。
なお豊田氏が指す「日本の若者」というのは、平川選手や宮田選手のようなドライバーだけでなく、小松氏のようなエンジニアやメカニックなども含まれている。
(次ページに続く)
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