ベントレー、伝統が紡ぎだす極上の世界観
掲載 更新 carview! 文:川端 由美/写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:川端 由美/写真:菊池 貴之
V8エンジンを得て若々しさを増した「コンチネンタル GT V8」に対して、「フライングスパー」は今回のモデルチェンジで、4枚のドアを持つゆえに期待される後席の快適性を向上させた。コンチネンタルの名は消えて、フライングスパーだけの呼称になったものの、両車のフロントビューは共通の印象を持っている。上下に狭められたグラスエリアはスポーティな横顔を演出し、サルーンというよりは、4ドアクーペのスタイルに近い。が、室内に乗り込むと、運転席の快適性はそのままに、後席の頭上空間と足元のスペースが広がった。確かに、主張するだけのことはある。元々、W12エンジンは全長が短く、V型と比べて居住空間の確保はしやすく、どのモデルも運転席の快適性には定評があった。そのベントレーが後席に気を配ると決めたからには、それなりの対応をしてきたのだろう。
ただし、ベントレーである以上、後席の快適性を云々する前に欠かせないのが、あくまで最高のドライバーズカーであることだ。「コンチネンタルGT」ではV8を採用し、よりモダンな乗り味を演出して見せたが、「フライングスパー」では当面、W12エンジン以外を搭載する予定はないという。走りだしてすぐ、その判断に同意した。
6リッターもの大排気量を持つ12気筒エンジンらしい絹のようにスムーズな加速が心地よい。V8エンジンの若々しい息吹も素晴らしくモダンだが、あえてどちらかを選ぶなら、W12の粛々と回転数を高めながら強大な出力でボディを押し出していく様により高級車らしい雰囲気を感じる。2トン超の車両重量でありながら、パワー・トゥ・ウェイト・レシオは3.8kg/psを誇り、発進から100km/hまでわずか4.6秒で加速する。最高速は322km/hと、スーパースポーツカー並みのハイパフォーマンスだ。
5295×1976×1488mmのボディサイズは、都内では往生するかと想像したが、それも杞憂に終わった。実際のボディサイズは決して小さくはなく、入る車庫も限られるのは十分に承知しているが、ステアリングフィールの確かさとアクセル操作への応答性の俊敏さの双方が、このクルマを実際のサイズより小柄で扱いやすいような感覚にさせてくれるのだ。首都高の入口で坂道を駆け上がりながらの加速や追い抜きをするときの中間加速などでは、2000rpmという低い回転域で最大トルク800Nmを発揮することで、じわっと身体がシートに押し付けられるほどの加速感を感じる。が、それは劇的なものではなく、あくまでスムーズで心地よい加速だ。
4段階で可変できる足周りの設定のうち、最もコンフォートな設定を選ぶ。首都高の継ぎ目や荒れた路面でも、快適さを損なわず、まるでこのクルマが走る手前で路面がスムーズに変わるかのような錯覚に陥る。スポーティな設定を選べば、俄然、足元をしゃきっと固めて、スポーティな走行でもロールを抑えながら、しっかりと路面をとらえてくれる。
エンジンの滑らかなフィールや走りっぷりに加えて、室内の設えの上質さや、エアコンの快適さ、シートの掛け心地とサポート感のバランス、オーディオの音質の高さ…と、どれひとつ落ち度がない。全方位で高級車としての要素を整えつつ、2280万円のプライスタグを掲げるのは破格といっていいだろう。
とはいえ、誰もが買える価格ではないが、もしあなたがこれらのクルマを手に入れることができる幸せな人であれば、日常のシーンで使える最高級車として、日々を楽しむのが正解だ。過日のベントレー・ボーイズの活躍に思いを馳せて乗るのもいいし、現代的なパフォーマンスを堪能するのもいい。どんな形にしても、自分の人生のシーンでその世界観を楽しむことができれば、それが極上の幸せにつながるはずだ。
ログインしてコメントを書く
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
【次期ティアナ?】日産が“美形”セダン「N7」発表。中国でBYDとシャオミの上級モデルに殴り込み
現行型が今も販売好調な「フォレスター」だが、日本のユーザーが選ぶべきは…やはり新型である理由
800万円は高いか安いか!? レトロ風で最新の安全装備充実!ミツオカ創業55周年記念車「M55」発表
【3分でわかるモデル解説】なんとなくMINIがほしいけど、どれを買えばいいか迷ってしまう初心者へ
【クセ強だけど懐かしい】光岡、55周年記念車「M55ゼロ・エディション」発売。100台限定…ベースはあの車
「売れる車がない」なんて言わせない! 北米日産の大型SUV「アルマダ PRO-4X」が魅力的…価格も発表
新型「ティグアン」正式発売で注目集まる豪華装備とお値打ち度。世代遅れの兄弟「Q3」よりお買い得
メルセデスAMG「A45」に“最後の限定車”登場。2.0Lターボは421馬力も…価格は1000万円超え!!
ホンダの高級ブランドが新型SUV「ADX」を発表。クセ強め“アメリカン顔”の衝撃や背景とは?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!