クルマの電動化、最前線のコア技術に迫る
掲載 更新 carview! 文:川端 由美
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普及に至らなかった理由はいくつかあるが、電動スーパーチャージャーに関しては、わざわざ発電した電力でスーパーチャージャーを回しても効率が悪いとの理由で普及しなかった。しかも、スーパーチャージャーを回すために使われる電気モーターは、数ミリ秒の短時間で数万回転まで回らないといけないという特殊なものが必要とされる。今回、ヴァレオで電動スーパーチャージャーを実用化できたのは、その2つの課題がクリアされたからだ。
早速、電動スーパーチャージャーの中身を見ていこう。機械式同様、吸気を圧縮するコンプレッサーとタービンが備わるが、電動式ではエンジンに直結しないため、それらをつなぐシャフトが不要だ。このシャフトはかなり熱が高くなるため、特殊な素材を使っていて、コストも高い。加えて、スーパーチャージャーを切り離すためのクラッチやプーリーが不要になる。一方で、スイッチ・リラクタンス・モーター、パワーエレクトロニクス、電子制御ユニットといった電気じかけが加わる。具体的には、250ミリ秒で最大70000rpm(!)まで回転数を高められる電気モーターを独自開発し、オルタネーターと強化スターターとインテリジェント・バッテリーから構成される回生システムによる電力を活用することで電動スーパーチャージャーを実現した。
…と解説しても、なんだか難しいゾ! とお思いの方も多いでしょうが、乗ってみると、その御利益は明らか。セルジーに用意されていたテストカーは、ダチア「ダスター」という渋めのチョイスだ。78kW/140Nmを生む1.6リッター直4自然吸気エンジンにMTを組み合わせたものに、電動スーパーチャージャーをアドオンしている。エンジンルームを開けると、なんと横置きされたエンジンの前に電動スーパーチャージャーが搭載されている。電動式では、モーターとエンジンをつながなくていいので、モーターの置き場所が自由に選べるようになるのだ。
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