アウディが見据える未来、g-tron&e-tron
掲載 更新 carview! 文:大谷 達也/写真:アウディ ジャパン
掲載 更新 carview! 文:大谷 達也/写真:アウディ ジャパン
では、e-gasを使ってどんなクルマを走らせるか? アウディは天然ガスでもガソリンでも走るバイフューエルカー、アウディA3 Sportback g-tron(以下、A3 g-tron)を作り上げた。もちろん、ベースはドイツ本国でもまだ発売されたばかりの新型A3である。これに、1本あたり7kgの天然ガスを収められるガスボンベ2本と、通常のガソリンタンクの両方を搭載。さらに、ガス圧力を安定させるレギュレーターや燃料系統を切り替える装置を組み込むことでバイフューエルカーに仕立てた。
エンジンは110ps、200Nmを発揮する1.4TDIで、この性能は天然ガスでもガソリンでも変わらないという。ちなみに航続距離は天然ガスで400km、そしてガソリンで900kmの計1300km。しかも、ドイツでは天然ガス・ステーションがそこかしこにあるので、「天然ガスを探しに長距離ドライブ」なんて無駄なことをする必要はないらしい。
今回はこのA3 g-tronにベルリンの市街で試乗できた。といっても、正直、特別なことはなにひとつなかった。0-100km/h加速が11秒以下というカタログ・データがかなり控えめなものと思えるくらい活発によく走るし、ノイズや回転フィールもガソリン・エンジン車と変わらない。
しかも、燃料の切り替えは、まず天然ガスを用い、これが残り少なくなるとガソリンにするという手順でクルマが自動的に行ってくれるので、ドライバーの手を煩わせることもない。にもかかわらず、前述のe-gasを使うと、燃料生成時のCO2消費分と差し引いて1kmあたり20gしかCO2を排出しない。これは、もはや自然エネルギーの電力で充電したEVに迫るレベルだ。しかも、自動車としての性能はなにひとつ損なわれていない。「ああ、自動車の未来は意外と近いところにきているんだな」と強烈に実感する試乗となった。
A3 g-tronは2013年末に発売される予定だ(日本導入は未定)。
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