大きく広くなった、新型ステップワゴンに試乗！

仕上がりは上々だが…

クローズド環境での試乗による限定的な印象ではあるが、フットワークもやはりサイズアップのネガを意識させない仕上がりだった。電動パワーステアリングは中立位置の重さにやや不自然さを感じるものの、一旦切り始めれば自然な感触で素直に向きが変わる。街中や交差点でも、この爽快なレスポンスは心地良さに繋がるに違いない。

横方向の剛性感が俄然高まったリアサスペンションのおかげで、よりペースを上げたコーナリングも手応えは上々だった。リアが曖昧な動きとは無縁にガシッと踏ん張ってくれるから安心してステアリングを切っていける。そもそもの低重心と相まって、結構楽しませてくれそうな雰囲気である。

多人数乗車を考慮した設定のため、1名乗車では乗り心地は当然硬めと感じられるが、決して不快ではない。特に、先代では硬いだけだった「スパーダ」が無駄な動きを排したスッキリとした乗り味に変貌していて、個人的にはノーマルよりも気に入ったほどだった。

狙いはハッキリしているしハードウェアの仕上がりも上々。新型ステップワゴンは、なるほどナンバーワンを目指すという意気込みに負けない出来映えを見せている。しかし、くどいようだがシートベルトとヘッドレストの点は大マイナス。この一点を以て私はコレを、少なくとも多人数乗車が前提の人にはオススメとは言えない。

ついでにもうひとつ、どうも新型はたたずまいにホンダらしい若々しさが漂ってこないのが気になる。カタチは似ているのに初代にはあった道具っぽさだったり、それ故に独身で何か積む予定があるわけでもないのに思わず欲しくなった、アノ感じが薄いのだ。ファミリー向けだからこれでいいと言われたらそれまでだが、ホンダが出すミニバンなら、これがステップワゴンなら、そこにプラスアルファの何かを期待したくなるというのも、また本音なのだ。