新型カングーのエンジン選び。オススメは断然ディーゼル、その理由とは?
掲載 carview! 文:工藤 貴宏/写真:ルノー・ジャポン 38
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――3代目へと進化したルノー「カングー」。ガソリンモデルに加えて、新たにディーゼルモデルが追加された。悩ましいパワートレイン選び、どちらがオススメなのかを考察する。
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待望のフルモデルチェンジで3代目へと進化したルノー「カングー」が、ついに日本へ上陸した。そんな新型カングーの詳細を見て、喜んだ人も多いに違いない。先代のカタログモデルにはなかったディーゼルエンジンが、ついに正式なカタログモデルに昇格したのだ。
これまでのガソリンに加えてディーゼルとパワートレインの選択が広がったのである。これは朗報に他ならない。
詳しい人にとっては今さらの話となるが、みんながみんな、カングーの事情に詳しいとは限らないから説明しておくと、確かに先代カングーにもディーゼルエンジンのモデルは用意された。
しかしそれはカタログモデルではなく、先代カングーとしては日本向けの最後の仕様となるわずか400台の限定車に過ぎなかったのだ。もちろん400台なんて瞬殺で、中古車市場では驚きの高値で取引されている。とてもじゃないが「手の届きやすい仕様」ではなかったのだ。
しかし、新型は違う。限定車ではなくカタログモデルだから、納車までに時間はかかるかもしれないが誰でも手に入れることができる。ある意味、カングーの歴史に新しいページが開かれたと言っていいのではないだろうか。
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実はもうひとつ、新型のディーゼルには先代との大きな違いがある。トランスミッションだ。
先代のディーゼルエンジンは、組み合わせるトランスミッションがMTのみだった。これは一部のカングーファン(カングーは今どき珍しくMT比率が他車よりも高い)からは熱烈な歓迎を受けたものの、「MTじゃ買えない」と断念した人がいたのも事実。
でも新型はATとの組み合わせだから、間口が広がったのは間違いない。(「MTはないの?」という声もあるかもしれないが、それは今後に期待!)
ディーゼルエンジンは基本的に先代の最終限定車に搭載されていたもので、排気量1.5Lの4気筒ターボ。実際に乗ってみたところ、ディーゼル特有の振動は皆無で、音も意外と小さく、走り始めれば全く気にならない。これなら積極的に選んでもいいなあ……と思える仕上がりだ。
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一方で、そんなディーゼルの設定がまた新たな悩みを生むこととなった。先代では基本的になかった、「ガソリンがいいか? それともディーゼルを選ぶべきか?」という大問題が勃発したからだ。なんとも悩ましい。
結論から言えば、筆者のオススメはディーゼル。その理由を書いていこう。
まずは、トルクフルな走りだ。ルノー・三菱・日産のアライアンスがメルセデス・ベンツと共同開発したガソリンエンジン(排気量1.3Lの4気筒ターボ)は最高出力131psで最大トルクは240Nm。
これも排気量からは想像できない力持ちで、不足なくカングーを走らせる。だから積極的に選んで問題はないのだが、やはりディーゼルに乗るとディーゼルの力強さが魅力となってくるのだ。
ディーゼルエンジンの最高出力は116psで、最大トルクは270Nm。「なんでディーゼルのほうが最高出力は小さいのに加速が力強いの?」と思うかもしれないが、注目すべきは最大トルク。ディーゼルのほうが1割以上大きな数値で、それがものを言うのだ。
ディーゼル車のほうがグイグイと車体を前へ押し出していく感覚が強い。そして、アクセルを踏み込まなくて済むから運転がラクなのも魅力だ。
一方で、ガソリン車の走りの魅力はエンジンの伸びやかさであり、「加速が力強いディーゼル」対「伸びやかなガソリン」という図式となる。これは好みなので最終判断は乗り比べて自分自身の感性とのマッチングで決めるしかないのだが、筆者が買うならば日常での運転しやすさを重視してディーゼルを選ぶ。

そして、もうひとつのポイントは経済性だ。確かに、ディーゼル車はガソリン車よりも車両本体価格が高い。同じグレード同士で比べると、ディーゼル車は消費税込みで24万高い値付けとなっている。
一方で、ランニングコストはディーゼル車のほうが安い。理由はふたつあり、燃費と燃料単価だ。燃費は、カタログ記載のWLTCモードでガソリン車が15.3km/Lに対してディーゼル車は17.3km/Lとディーゼル有利だ。
そのうえで燃料単価は、ハイオクガソリン指定のガソリン車に対してディーゼル車に使う軽油は2割ほど安い。燃費と燃料単価の両面から、ディーゼルは有利なのだ。
試しに、実燃費をカタログ値の1割落ち(ガソリン車13.8km/L,ディーゼル車15.6km/L)と仮定し、燃料単価をハイオク165円、軽油130円として計算してみると、1000km走るのに必要な燃料代はガソリン車が約1万1957円でディーゼル車は約8334円となる。
つまりディーゼル車の燃料代はガソリン車の2/3ほどで、1000km走るごとに3623円の差がつく計算だ。
この試算でいえば、約6万6000キロを走ればディーゼルを選んでも車両価格の差を回収でき、そこから先はディーゼルのお得感が強まるばかり。
試乗会で同じルート(高速道路と一般道が半々程度で渋滞はない)をできるだけ同じペースで走った実燃費は、ガソリン車が15.2km/Lでディーゼル車が19.2km/Lとカタログ値よりも差が大きかった。なので、実際には6万キロも走らなくても車両価格の差を取り戻せそうだ。ある程度の距離を乗るなら、ディーゼルのほうが魅力ではないだろうか。
カングーはどこかへ出かけたくなるクルマだ。そんな時は、燃料代の負担が少なく財布にやさしいディーゼル車のほうが気軽に遊びに行けると思うのは筆者だけではないに違いない。そんな意味からも、オススメはディーゼルとなるのだ。
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