高級ブランドは一日にして成らず。日本メーカーに覚悟はあるか?
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:マセラティ ジャパン
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:マセラティ ジャパン
一方、クールマイユールの街で、マセラティなどのブランドが行なっていたイベントは、むしろ、そうした潜在顧客が居そうな場所に出向いていくものだ。その効能は、単に新しい顧客層にアピールできる可能性があるというだけには留まらない。メーカーにとっては、本当に自らのプロダクトに関心を抱いてくれるのはどんな人たちなのかを、肌感覚で知る機会となる、という面も大きいように思う。
ラグジュアリーカーを所有すれば、すなわちラグジュアリーな体験ができるわけではない。体験なり生活、今風に言えばモノよりコトの重要性は、ますます高まっている。本当の意味でのラグジュアリーを体現できるクルマを生み出すためには、それはとても大事ではないだろうか。
モデナに居ようと、シュトゥットガルトに居ようと、豊田市に居ようと横浜市に居ようと、そこから見えるものはそう変わらないはず。それなら何が大事になるのかと言えば、見るべき景色を自ら見に行く、真のユーザーに触れに出向くことだろう。
もちろんこのクールマイユールのように、街全体がそうしたラグジュアリー感を漂わせ、長期滞在が多く、つまり滞在者は時間に余裕があり、かつクルマのテストに適した環境が近くにという絶好の場所と機会は、どこにでもあるわけではないとは思う。特に、日本では。あるいは、たとえばヨットハーバーで試乗ができたとして、雪の中の4WDのような特別感は出しにくいかもしれない。けれども、そうした場を見つけてくるところから、話は始まっているとも言える。
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