ほかの駆動方式に比べて必要となる部品点数が少なく、製造コストを抑えることができるFF。
かつてはその引き換えとして、運転の楽しさや安定性などで劣るなどと言われたが、近年は技術の進歩もあり、その見解はすでに過去のものとなっている。
根っからのエンジン屋!? ホンダ新社長が携わったクルマと指揮官の「横顔」
走って楽しく、そして安価。そんなFFスポーツこそ、多くのユーザーが求めるもの。ベストカーイチオシの国産FFスポーツ13台をドドドッとご紹介!
※本稿は2021年3月のものです
文/松田秀士、国沢光宏、鈴木直也 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年3月26日号
【画像ギャラリー】各モデル項目別採点表 追加情報も掲載! オススメ国産FFスポーツ13台をギャラリーで見る
■日本FFスポーツ分布図
現在、日本で買えるFFスポーツを、そのキャラクターがわかるように示した分布図が下の図だ。
よりわかりやすくするため、現在購入できなくなってしまったシビックタイプRも図に加えている。
国産FFスポーツ分布図
車種ごとに紹介している性能評価表と併せてご覧いただければ、より理解が深まるので、おすすめです。
昨年(2020年)10月のマイチェン後、あっという間に市場から姿を消したシビックタイプR。日本の硬派FFスポーツの代表格だ
■トヨタ GRヤリス RS(265万円)
ポルシェ911(964)時代にあったターボルックを連想した。悪く言えば「狼の皮を被った羊」? ミッションもCVTだけどパドルを操作すれば10段シフトで、街中でも充分にスポーツできる。
1.6Lエンジンは自然吸気3気筒でパワーは期待できません。でもサスやボディはモノホンGRヤリスのDNA持ち。だから誰でもエンジンパワー使い切れる感がちょっと嬉しい。そしてインテリアもしっかりGRしていて気分ヨシ。なんといっても100万円安いし!
トヨタ GRヤリス RS(265万円)
●全長3995×全幅1805×全高1455mm ●車両重量:1130kg ●エンジン:直3、1.5L NA ●出力:120ps/14.8kgm ●CVT
■トヨタ アクアGR SPORT(244万900~261万300円)
アクアに乗るたび「もっとボディがシャキッとしていれば……」。そんな不満を解消してくれたのがGR。
ドア周りほかにスポット溶接を10点追加し、ボディ補強メンバーもサス支持部やボディに追加(17インチパッケージ)。
このボディを生かすスプリング&ダンパーチューン。ハンドリングが生まれ変わった。
トヨタ アクアGR SPORT(244万900~261万300円)
●全長4070×全幅1695×全高1455mm ●車両重量:1100kg ●パワーユニット:直4、1.5L+モーター ●システム出力:100ps ●電気式無段変速
■トヨタ カローラスポーツ 1.2ターボ(216万9000~256万6000円)
サスの動きがしなやか。路面の凹凸をしっかり吸収して乗り心地がよく、ハンドリングも深い舵角まで遅れなく追従する。
ロール感はあるが、路面に張り付いたグリップ感があるので速い操舵を行ってもついてくるアジリティのあるコントロール性が魅力。
特に1.2ターボは軽量なので操舵初期の応答性もよい。
トヨタ カローラスポーツ 1.2ターボ(216万9000~256万6000円)
●全長4375×全幅1790×全高1460mm ●車両重量:1300kg ●エンジン:直4、1.2L+ターボ ●出力:116ps/18.9kgm ●6速MT/CVT
■トヨタ プリウスPHV GR SPORT(377万2000~425万8000円)
18インチホイールに履かされた225/40タイヤが安定感のあるグリップを発揮。
主にボディ下部のブレースなどによる剛性アップとサスチューンを施し乗り心地とハンドリングを進化させている。
またフロントのみ車高を13mmダウン。これにより前輪荷重を増し、PHVゆえのモーターパワーの高トルクを路面にしっかり伝えている。
トヨタ プリウスPHV GR SPORT(377万2000~425万8000円)
●全長4685×全幅1760×全高1470mm ●車両重量:1550kg ●パワーユニット:直4、1.8L+モーター ●システム出力:122ps ●電気式無段変速
■日産 リーフNISMO(429万4400円)
昨年のマイナーチェンジでステアリングギヤ比を下げ、サス各部のリファインも実施。これによって少ない舵角で気持ちよく向きを変えるハンドリングに磨きがかかった。
サスはスプリング&ダンパーともに硬くなっているが、乗り心地は損なわれていない。バンプラバーをゴム質からウレタン製に変更し、ロール感もよくなっている。
日産 リーフNISMO(429万4400円)
●全長4510×全幅1790×全高1570mm ●車両重量:1520kg ●パワーユニット:モーター ●モーター出力:150ps/32.6kgm ●ミッション:―
■マーチNISMO S(187万6600円)
ベース車にはない直4、1.5Lエンジンを搭載。5速MTはトップギヤをクルージング用とせず、走りをテーマに各ギヤ比がシンクロしている。
したがってエンジンパワーをしっかり使い切れる設定だ。サスは硬くコーナリング重視の設定だが、最低限の乗り心地(路面による)を確保している。なによりもエアロの性能が高い。
乗り心地を優先するならSの付かないNISMOがお薦め。2ペダルのCVTなのでラクチン感が高くAT免許でもOKだ。基本的にエアロもホイール&タイヤもSと同じ仕様。存在感があり道を譲ってもらえるかも。
マーチ NISMO S(187万6600円)
●全長3870×全幅1690×全高1495mm ●車両重量:1010kg ●エンジン:直4、1.5L NA ●出力:116ps/15.9kgm ●5速MT
■マツダ2 15MB(165万円)
マツダ2の名前になり、内外デザインも含めてクルマ全体の質感が進化している。直4、1.5Lのガソリンエンジンは、トルクフィール、静粛性、燃費に優れ、街乗りからロングツーリングもこなす。
アクセルペダルをオルガン式とし、ステアリングセンターとのペダル位置を理想的に配して、対ブレーキ踏み違えに基本設計から配慮した。
マツダ2 15MB(165万円)
●全長4065×全幅1695×全高1500mm ●車両重量:1030kg ●エンジン:直4、1.5L NA ●出力:116ps/―kgm ●6速MT
■マツダ マツダ3 FB SKYACTIV-X(319万8148~345万1963円)
ガソリンエンジンながらディーゼルと同じ「圧縮着火」を行い、高効率で環境性能の高い世界初のエンジン。
中速域のリッチなトルクと、ガソリンエンジンらしい高回転域まで伸びる性格が魅力。
非常に高度な技術を持つエンジンゆえに、持つこと、乗ることへの価値観が運転に余裕をもたらしてくれる。
マツダ マツダ3 FB SKYACTIV-X(319万8148~345万1963円)
●全長4460×全幅1795×全高1440mm ●車両重量:1400kg ●エンジン:直4、2L+SC+モーター ●出力:190ps/24.5kgm ●6速MT/6速AT
■マツダ マツダ6 XD(6MT・356万4000~405万3500円)
マツダ車は同一車種でATとMTがチョイスでき、さらにガソリンとディーゼルを選べるモデルが多い。マツダ6もディーゼルに6速MTが設定されている。
ディーゼル+MTは運転する楽しみとドライビング次第で高燃費を生む。搭載する2.2Lターボディーゼルはトルクも太く、加速性能が良好。
マツダ マツダ6 XD(6MT・356万4000~405万3500円)
●全長4865×全幅1840×全高1450mm ●車両重量:1600kg ●エンジン:直4、2.2Lディーゼル+ターボ ●出力:190ps/45.9kgm ●6速MT/6速AT
■ホンダ シビック ハッチバック(294万8000円)
外観はかなりスポーティで、スポーツ走行とファミリーユースとの両立派には6速MTもあるので打ってつけ。
直4、1.5L直噴ターボエンジンは低中速域のトルクが厚く、高回転域での振動感も少なくて扱いやすい。
ハンドリングはホンダらしくスポーティなもの。ただし硬すぎず、サスのストローク感を重視したスムーズさが売りだ。よって乗り心地はコンフォート。
しかしその気になって速度を上げれば、路面の凸凹に影響されずタイヤがしっかりと路面を捉えて、スポーティな操舵感、強いブレーキングに負けない反応を見せる。
ホンダ シビック ハッチバック(294万8000円)
●全長4520×全幅1800×全高1435mm ●車両重量:1330kg ●エンジン:直4、1.5L+ターボ ●出力:182ps/24.5kgm ●6速MT/CVT
■スズキ スイフトスポーツ(187万4400~214万1700円)
コストパフォーマンスが最も高いモデル。競合する他メーカーのどのクルマとも似ているところがない、オリジナリティの高い一台。
スポーツモデルだがサスペンションは柔らかい。ショックアブソーバーとバンプラバーの組み合わせ&制御が優秀で、ピッチングもバウンシングも抑えている。だから乗り心地がよい。
また室内静粛性も高く、スポーツに特化しているのにロングツアラーでファミリーユースに適する一面も持っている。ハンドリングは言うまでもなくスポーティ。
エクステリアデザインにも安っぽさがなく、所有する喜び&満足度が高い。
スズキ スイフトスポーツ(187万4400~214万1700円)
●全長3890×全幅1735×全高1500mm ●車両重量:970kg ●エンジン:直4、1.4L+ターボ ●出力:140ps/23.4kgm ●6速MT/6速AT
■スズキ スイフトRS(ガソリン・178万2000~183万9200円)
エンジンは直4、1.2Lで91ps/12.0kgmと非力だが車重が900kg前後と超軽量なので動力性能は悪くない。
870kgの5速MT車は余計なものを取り去り、走りと実用性の高いモデルだ。
ハンドリングはスポーティさのなかに落ち着きあるサスストロークが光る。硬いが不快感は少ない。安価なのも魅力。
スズキ スイフトRS(ガソリン・178万2000~183万9200円)
●全長3855×全幅1695×全高1500mm ●車両重量:870kg ●エンジン:直4、1.2L NA ●出力:91ps/12.0kgm ●5速MT/CVT
■スバル インプレッサスポーツ STIスポーツ(270万6000円)
水平対向エンジンでシンメトリカルAWDが売りのインプレッサだが、FFモデルもラインナップされている。AWDモデルに比べ燃費も0.6km/Lよく、価格はマイナス22万円とお得感が高い。
FFモデルでもボディやサス形式は同じ。もちろんエンジンも同じで、走りのクォリティはAWDモデルと遜色はない。あるのは雪道など悪路での走破性、あとは限界域で若干アンダーステアが発生しやすいくらいだろうか。
全車アイサイトを標準装備しており、ダンパー&スプリングはSTIチューンのスポーツパーツを採用している。
スバル インプレッサスポーツ STIスポーツ(270万6000円)
●全長4475×全幅1775×全高1480mm ●車両重量:1350kg ●エンジン:水平対向4、2L NA ●出力:154ps/20.0kgm ●CVT
* * *
超高性能車、シビックタイプRが買えなくなった今でも、まだまだ魅力的なFFスポーツモデルが多いことが、おわかりいただけたのではないだろうか。
パワーはなくともハンドリングに優れるモデルであれば充分スポーツ走行を楽しめるし、それでもパワーが欲しい層にはダウンサイジングターボ搭載モデルもある。しかも価格はリーズナブルときた。
ってわけで、FFスポーツ、マジでおすすめです。
【番外コラム】FFスポーツ、軽・輸入車で選ぶならどれ???
●軽のFFスポーツ、アツくなれるのはドレ?
軽自動車の場合、アメリカのような訴訟の国で売られることがないため、安全面は国際水準じゃない。アツくなれるかどうかの前に「安心して乗れること」が重要でしょう。
コーナーを攻めると横転したケースがあるアルトワークスや、駐車場出口の段差でエアバッグが誤作動した話のあるコペンは、その後対策したか不明(トヨタで売るGRコペンは対策ずみ)。よってオススメは、N-ONEです。
スズキ アルトワークス。登録車では減少傾向のMTスポーツも、軽界隈では依然として元気。軽スポーツの雄といえばS660だが、S660はミドシップゆえ、今回の検証には含まれない。チトもったいない
ホンダ N-ONE RS
ダイハツ コペン
(TEXT/国沢光宏)
●スポーツっぽくないけど走るとスポーツなこのFF
今回、スポーティなFFとしてピックアップされている13モデルのなかで群を抜くパフォーマンス持ってるのはスイフトスポーツ。そいつに並ぶ速さを持つと言うことで、リーフe+を推奨しておく! 編集部ではリーフNISMOを選んでたけど、コッチです。何たって218psですよ!
このクルマ、スイフトスポーツと違いECOタイヤを履かせているためノーマル状態だと筑波サーキットのラップタイムで負けるかもしれない。でもタイヤ変えただけで真っ向勝負できると思う。
街中でのドライバビリティだって素晴らしい! ノンビリ走っていても、アクセル踏んだ瞬間からフルパフォーマンス! 普通のエンジン車だとアクセル全開からフルパフォーマンスまで1秒くらいのラグがある。
多くは書かないけど街中で「加速したいぞ!」という気分になった際、圧倒的にリーフe+強い。街中を走ってて「くそ、負けた!」が100%ないのは凄い!
62kWhバッテリーを搭載して218ps/34.7kgmを発生するリーフe+。ちなみにリーフNISMOは150ps/32.6kgm
(TEXT/国沢光宏)
●日本で買える、オススメ輸入FFスポーツ
FFスポーツは本来お手頃価格のボーイズレーサーが主体だったのに、いまや「ニュル最速」が注目の的。その典型が言うまでもなくメガーヌR.S.なわけで、速さを求めるならやっぱしコレしかないですわな。
ただ速さを追求してゆくと、どうしても価格上昇が不可避で、メガーヌR.S.は500万円近くする。ぼくだったら200万円安い弟分のルーテシアR.S.でいいジャンと思うけど、残念ながら電動化のあおりで生産終了の模様。もし残ってたら買いですね。
シビックタイプRとニュルFF最速を競うルノーのメガーヌR.S.。1.8Lターボで300ps
同じことはミニのJCWとクーパーSの関係にも言えて、JCWは確かに速くて面白いんだけど470万円はちょっと……。100万円ほど安いクーパーSのほうがむしろバランスよく楽しめるんじゃないの、と思うわけです。
ドイツ勢では、定番のゴルフGTIはすでに新型が出てるのでポロGTIが本命。ただ、ポロはよくできてるがゆえに、優等生すぎてつまらないという人も多い。
で、FFスポーツは少しハメを外したくらいがいいと思うなら、アバルト595がいちばん個性的。絵に描いたような古典的ホットハッチはいまや絶滅危惧種ですね。
1.4Lターボ搭載のアバルト595。出力は145psだが走らせると楽しい。MTなら300万円
(TEXT/鈴木直也)
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moduloXがRSの代わりになるかは未知数
ましてマニュアルの設定もないし
優先じゃありません。