【CX-60試乗】今どき珍しいまだ買うべきではない車? その理由とは?
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:小林 俊樹 563
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グローバルモデルとして、パワートレインからサスペンションまでを全面的に新設計したというマツダの「ラージ商品群」。その第一弾として登場した「CX-60」のプラグインハイブリッド車「CX-60 PHEV」と、ディーゼルターボ車「CX-60 XD」に公道で試乗した。
結論から申し上げると、現時点におけるCX-60は――特にそのPHEVは、今どき珍しい「買うべきではない」と思われる車であった。
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まずはマツダ CX-60の概要をざっとおさらいする。
CX-60は、マツダの次世代を担う上級車種群「ラージ商品群」の第1弾として、日本では2022年9月に発売されたアッパーミドルクラスのSUV。
ボディサイズは全長4740mm×全幅1890mm×全高1685mmで、パワーユニットは全部で4種類。
2.5L直4ガソリンエンジンに電動モーターを組み合わせた「e-SKYACTIV PHEV」のほか、3.3L直6ディーゼルターボである「SKYACTIV-D 3.3」、同エンジンに48Vマイルドハイブリッド機構を組み合わせた「e-SKYACTIV D」、そしてシンプルな2.5Lガソリンエンジンである「SKYACTIV-G 2.5」がラインナップされている。
トランスミッションは、トルクコンバーターではなく多板クラッチを用いた8速ATで、新設計されたFRベースのプラットフォームに収まるリアサスペンションはマルチリンク式。ホイール側のジョイントすべてに、一般的な「ゴムブッシュ」ではなく「ピロボール」が使われている。ピロボールとは、球状の金属を金属のベアリングでかしめたものだ。
以上のざっとした“おさらい”を頭に入れながら、プラグインハイブリッドモデルである「CX-60 PHEV Premium Sports」にて、横浜から千葉県鴨川市を目指してみることにしよう。
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まずエクステリアデザインは、個人の主観ではあるが「素晴らしい」と感じられる。魂動デザインのさらなる進化を目指し、「自然と調和する日本人の感性を生かしたタフさと緻密さ」を表現したというものらしいが、難しい話はさておき、ややクセのある、しかしそのクセが味わい深いと思えるナイスデザインだ。
そして近年のマツダ車のインテリアデザインについては、もはや何も言うことはない。デザインセンスも質感も「最高!」であり、「この内装があれば輸入SUVはいらない!」とすら思えるニュアンスだ。
またCX-60 PHEV Premium Sportsは動力性能にも何ら不満はなく、ハンドリング性能については「不満がないどころか、これってもしかして最高じゃないですか?」と思えてしまうレベルである。
どの速度域においても狙ったラインを1ミリたりとも外さずに走ることができ(※実際には筆者のテクの関係で1cm以上、思いっきり外しているのでしょうが)、S字的なターンを行う際にも、この車が「背が高いSUVである」ということを完全に忘れてしまう――と書けば、CX-60のハンドリング性能の“すべて”とは言わないが、9割以上は表現できているはず。素晴らしいハンドリングのSUVである。
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だが大問題なのは「乗り心地」だ。
その硬い乗り心地についてはプロトタイプの頃からジャーナリスト各位から報告されており、発売後はユーザー各位からも報告されている。
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しかし発売から約半年が経過しているということで、その乗り心地は改善されているのかと思いきや、依然としてCX-60は「思わず無口になってしまうレベル」であった。
約3300kmを走行しているCX-60 PHEV Premium Sportsは、高速道路の大きめな継ぎ目を乗り越える際には「内臓が痛い……」と感じられるほどの突き上げ感があり、思わず無口になってしまう。
救いは「でも大きな突き上げは一発でシュッと収まる」ということだが、世の中の道路は「大きな継ぎ目の数」こそ少ないものの、「路面の小さなうねり」はそこかしこに存在している。
目に見えて「うねってるなぁ……」という道だけでなく、「おっ、この道はかなり舗装がいいな! 最近、舗装工事したばかりなのかな?」みたいな路面でも、実際にはけっこううねっているものだ。
とはいえ普通の足回りの車であれば、そういった「舗装が良い道のうねり」をドライバーや乗員が感知することはあまりない。
しかしCX-60 PHEVはひとつずつ、律儀にすべてのうねりを拾い、いちいちドライバーと乗員にバウンシング(上下の動き)によって「ここ、こう見えて舗装があんまり良くないですね。完璧な平坦ではないですよ」と教えてくれる。
……お前は「路面探査機」か?
つまり、奇跡的なまでに舗装表面が平坦であるごくごく一部の場所を除き、CX-60 PHEV Premium Sportsは横浜市内から千葉県鴨川市まで、ほぼ常に大きな、あるいは小さな、バウンスをずっと続けていた。
筆者はドライバーであったにもかかわらず、少々酔った。
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無口になりながら鴨川市に到着し、3.3L直6ディーゼルターボの「CX-60 XD Exclusive Mode(4WD)」に乗り替える。オドメーターの数字は約2200kmだ。
1500rpmから3000rpmの範囲で500Nmのトルクを発生するとカタログに書かれているディーゼルターボエンジンは、体感的には「……本当に500Nmも出てるの?」という力感であり、フィーリング的にもガサガサ感のようなものが感じられる。そのため「乗って楽しい車」という感慨はあまりない。
ただ、鴨川へ来るまでの道中ずっと感じていた「上下方向の不快な動き」は、PHEVと比べればだいぶ少ない。何らかの計測機器で厳密に測ったわけではないが、体感的には「PHEVの4分の1か5分の1ぐらい」といったところだろうか。
しかし「上下の不快な動きはまったく感じませんでした」という話ではなく、“それ”はディーゼルターボ車でも確実に発生していた。車両本体価格でおよそ470万円を投じた結果がこの微妙な不快感では、購入したユーザーも浮かばれまい。
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マツダの「ラージ商品群向け新プラットフォーム」は、来たるべきBEV時代やその他の展開に向けて、かなりチャレンジングな足回りになっている。そのチャレンジングスピリットと、「この先を見据える」といった先見性は、大いに評価されてしかるべきだろう。
「今はまだ微妙だが、新プラットフォームの今後の熟成に期待したい」みたいなことを書いているジャーナリストもいる。
そのどれもが結構な話ではあるが、筆者が言いたいことはただひとつである。
「実験は、どうか研究施設の中でやってください」
無料あるいは超低価格でユーザーに車両を提供または貸与し、感想を述べてもらうというモニタリングキャンペーンであるならこれでもいいだろう。
しかしユーザーは自分のカネで、しかもPHEV Premium Sportsの場合でいえば車両本体だけで626万4500円という大金でもって購入するのだ。
そして自分の、あるいは家族と一緒の大切な時間を使って、今後の人生で二度と同じ日が繰り返されることはない「その日」を過ごすのだ。
そのとき傍らにある車がこれでは、本当に浮かばれない。
マツダ CX-60という車の名誉のために申し添えるなら、一般道でも高速道路でも、日本の常識からはちょっと外れてしまうぐらいのスピードを出せば、不快なバウンシングはほぼ消える。いや完全に消えているかどうかは知らないが、少なくとも筆者はほぼ感じなかった。その際の乗り味とハンドリングは、本当に素晴らしい。
だが日本国の家族をそんな速度で走らせることが、果たして「名誉」なのだろうか?
マツダ CX-60のPHEVまたはディーゼルターボ車が欲しいのであれば、何らかの根本的な改善策が打たれた後に購入するべきだろう。
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