BMW X3とX4のMモデルは無敵感すら漂うキャラクター。意外にもより快適なのはX4
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:BMWジャパン
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そんなX3 M コンペティションのエンジンには、新開発の「S58」ユニットが搭載された。直列6気筒ツインターボという形式に変わりはないが、排気量は「S55」ユニットの2979ccから、2993ccへと僅かにアップ。ボア×ストロークは84×90mmへと改められた。
またシリンダーヘッドはその冷却効率をさらに高めるべく、鋳造型が3Dプリンタで作られた(世界初だという)。これによって砂型鋳造ではなしえなかった複雑なウォーターライン形状が可能になったとエンジニアは語っていた。また鍛造ピストンだけでも3kg、エンジン全体では約11kgの軽量化を果たし、水冷式インタークーラーをも装備するに至った。
こうした進化によって発揮される出力は、通常の「M」で最高出力が480PS/6250rpm、最大トルクは600Nm/2600-5600rpm。対してM コンペティションは600Nmの最大トルクを2600rpmから発揮して5950rpmまで維持し、510PSの最高出力を6250rpmで絞り出すまでになった。ちなみに両者の最高出力発生回数は同じ。エンジンとして機構的な違いはなく、マッピングのマネージメント(や多少の排気系の違い)でパワー差を出しているのだという。
実際このS58ユニットは、「M4クーペに積んだらさぞかし……!!」と思わせるほど進化を果たしていた。まずトルクの出方が、著しく洗練された。S55ユニットが持っていたウェットでは全開がためらわれるような野蛮さはなくなり、アクセル開度に対するトルクの出方はよりリニアになった。X3 MがMxDrive(4WD)ということもあるが、自信をもってこれを踏み込んで行くことができる。
時代の流れもあるのだろうか、そのサウンドはとりわけ過激ではない。しかしストレート6ならではのスムーズな回転上昇感は健在で、回すほどに整って行くメカニカルノイズが心地良い。またアクセルを閉じても以前のような、威嚇系のアンチラグサウンドがおおっぴらには響かなくなった。
こうしたエンジン特性と、前述したシャシーが組み合わさると、X3 MコンペティションはSUVらしからぬ骨太で男性的な走りを披露する。良く効くブレーキ。ステアすれば小さなコーナーでもクルリと回り込み、高速コーナーではビターッと安定するシャシー性能。アクセルを踏み込めば背中がグーッと押しつけられ、伸びやかに加速して行く。
正直オープンロードでは、さらに足回りの減衰力が高まるSPORT以上のモードが必要だとは思わない。むしろコンフォートモードでの減衰力がオールラウンドに路面の起伏へ追従し、速度を上げるほどフラットになる乗り心地にハイエンドモデル特有の上質感が味わえる。
ボディサイズも車線幅が広いアメリカの道路ではジャストサイズだった。そのパワーを目くじら立ててではなく、余力として使える環境が整っていて、M社がこの地を試乗会場に選んだ理由がよくわかった。
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