M6グランクーペ、Mでしか味わえない恍惚…
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:菊池 貴之
"M"のバッジを付けたクルマと対峙したとき、僕の心はいつも高揚感と緊張感で満たされる。モータースポーツで打ちたててきた輝かしい歴史、伝統、類い希なるパフォーマンス……理由はいろいろある。けれど、Mが僕にとって特別な存在になっている理由は、実は僕自身のなかにある。
これまで数多くのMモデルに乗ってきた。そしてそれらは、ただの一度たりとて僕を失望させることはなかった。脳天まで突き抜けるような加速と図抜けたコーナリング性能は、ドライビングの歓びの何たるかを強烈に伝えてくる。それでいて、エンジンの回り方、ステアリングフィール、サスペンションの動きに粗さは微塵も感じられない。Mは速く、刺激的である。
しかしその一方で、精密機械のような緻密さも持ち合わせている。過去に経験したMは、例外なく、雑味をとことん取り除いた超高性能マシンだけが醸し出せる高度に洗練された刺激性を味わわせてくれた。そしてそんな経験の積み重ねによって、いつしか僕はMに畏敬の念を抱くようになったのだ。
そんなMモデルの最新モデルが「M6グランクーペ」だ。流麗な4ドアクーペのボディの下に搭載するのは560psを発生する4.4L・V8ツインスクロールターボ。M5より低い全高に加え、ルーフをカーボン製とすることでさらなる低重心を実現しているという。走りへの期待はいやがおうにも高まる。
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