日産SUVにイッキ乗り、個性に富んだ4モデル
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
エクストレイルは、決してスマートなデザインの持ち主ではない。にもかかわらず非常に高い人気を誇るのは、スクエアなフォルムが機能をストレートに表現しているからだろう。高価なライン装着ナビを選ばなければサイドアンダーミラーが付いてきてしまうのはデュアリスと同じだが、エクストレイルのデザインなら、まあ許せるかなという気にはなる。デュアリスと同じプラットフォーム、同じホイールベースでありながら、全長は300mm以上長く、それを主にラゲッジスペースにあて、さらに直線基調のデザインとすることで無駄なスペースを排除。広大なラゲッジスペースを実現した。これはスキーやキャンプ等々、クルマを使ったレジャーを楽しむ人たちにとって大きな魅力となる。
インテリアには一部ソフトパッドを使ってはいるものの、あくまで機能重視。もちろん、それ自体はまったく問題ないのだが、細かい部分にはもう少し工夫が欲しい。たとえばダッシュボード上にある収納のフタ。ハードプラスティックを使ったこのパーツは、シボこそ合わせているものの、周囲のソフトパッド素材と明らかに異なる安っぽい光を放っている。素材が違うのだから、同じシボを使うより、たとえばつや消し塗装のシボ無しにしたほうが、デザイン的にも質感的にもいい結果を生むだろう。
後席は広く、なおかつ座面を前席より高く設定したシアターレイアウトになっているため見晴らしもいい。ラゲッジスペースはかなり広く、後席を倒せば文字通り“広大”な空間が出現する。ダブルフォールディング式で、畳む際はヘッドレストを抜いてやる必要もあるなど操作はいささか面倒だが、なんでも積み込める広さ、汚れても簡単に拭ける表面素材、引き出し式トレーなど、機能性の高さは抜群だ。なお、シートは通常のファブリックと、防水タイプの2種類から選択可能。防水タイプは通気性にはやや難があるので、タフに使う人以外はファブリックを選んでおいたほうがいいだろう。
試乗したのは2リッターNAを積む「20X 4WD」。245万円という価格でありながら、本格的4WDシステムやヒルディセントといった、悪路走行を意識した装備をもっている。加えて、前席だけでなく後席にもシートヒーターが付くなど、厳しい自然条件でも乗員に安心感と快適性を提供しようという心意気が感じられるのは嬉しい。
エンジンはデュアリスと同じ。4WDということもありウェイトは80kgほど重いが、重量による影響はほとんど感じられなかった。決して俊足なクルマではないが、普段走っていて不足感を覚えることもない。予算に余裕があれば2リッターターボディーゼルはかなり魅力的な存在だが、2リッターでも発進加速を含め、動力性能は何ら問題なしとコメントしておこう。
足のセッティングはソフトだが、荒れた路面でも必用以上に煽られることはなく、フラットな姿勢を保つ。フットワークはデュアリスよりさらに穏やかな躾け。速度を上げてコーナーを回ると、横Gの高まりに応じてグーッとロール角が深まり「これ以上は無理しないほうがいい」というインフォメーションを伝えてくる。実際にはさらに追い込んでいっても破綻を来すことはないのだが、スポーティな走りを求めて選ぶなら別の選択があるだろう。
エクストレイルというクルマは、時流に乗ったファッショナブルなSUVとは一線を画す。たくさん荷物を積みたい。汚れた荷物を積んでも簡単に汚れを落としたい…そんなふうに、道具としてとことん使い倒すことでライフスタイルを豊かにしてくれるのがエクストレイルである。
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