日産SUVにイッキ乗り、個性に富んだ4モデル
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
今回試乗したムラーノは「350XV FOUR」。3.5リッターV6エンジンを搭載した最上級グレードだけに、価格は447万円に達する。となれば当然といえば当然だが、他の3台とは世界観がまったく違う。ナビや本革内装は標準で、美しいヘアライン仕上げのアルミパネルも付く。乗り込んだ瞬間から、ラグジュアリーな高級車に乗っていることをしっかりと伝えてくる仕上がりだ。
1840kgの巨体をなんの躊躇もなく力強く加速させていくVQ35DE型エンジンの回転フィールは、V6としては決して洗練されているほうではないが、その分、元気いっぱいに活き活きと回る。MTで乗ると粗っぽさが目立つが、ATやCVTとの組み合わせで乗る分にはとても魅力的なパワーユニットだ。とくに踏み込んだ瞬間のレスポンスと、フォォーンというスポーティなサウンドを響かせながらの伸びは本当に気持ちがいい。最近は小排気量ターボが流行しているが、こういうエンジンに乗ると大排気量自然吸気エンジンのよさを再認識させられる。高級車として眺めるとアイドリング振動が大きめなのは気になったが、それを除けばパワートレーンに関する不満は一切ない。
フットワークはいい感じに引き締まっている。荒れた路面ではコツコツした振動を伝えてくるが、角は丸まっているし、振動の収まりも悪くない。何よりバネ上の揺すられ感がなく、フラットな姿勢を保ってくれるのがいい。ラグジュアリーカーとして十分に満足できる快適性の持ち主である。
ステアリング特性はあくまで正確。ステアリング操作に対し反応遅れが生じることはなく、かといって過敏でもない。気持ちのいいダイレクト感と安心感を与える正確性が高いレベルで両立している、といえばイメージが掴みやすいだろう。
ラゲッジスペースこそエクストレイルにリードを許すが、後席は広さ、シートの座り心地ともに「さすが高級車」といった印象。後席用のエアコン吹き出し口がきちんと用意されていること、床がフラットで広々としていることなども、快適性を高めている要素だ。なお、標準状態でも装備はかなり充実しているためオプションはほとんど必要ないが、BOSEのオーディオはぜひともオーダーしたいアイテムだ。11個のスピーカーから放たれるパワフルにして繊細なサウンドがたった12万1800円。絶対にお得である。
悪路も走破できるが、ムラーノの最大の特徴は「高級車としての風格を備えたSUV」であることだ。もちろん、フーガのようなフォーマル性は持ち合わせていないが、ムラーノなら3つ星レストランや5つ星ホテルにだって違和感なく乗り付けられる。それでいて、フーガでは場違い感ありありのスキー場やキャンプ場とも抜群の相性を見せる。そう、どんなシーンでも似合うマルチな才能を秘めた高級車がムラーノなのだ。
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