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BMWと、走りと、力学と 335i ドライビング分析

荷重移動を使いこなせる

アクセルを踏んで加速すると、クルマは後ろに傾く。これは、フロントの荷重が減り、リアに荷重が増したことで、フロントタイヤのグリップレベルは下がり、リアタイヤのグリップレベルは上がることを意味する。まっすぐ走っている際にはどうでもよい特性ともいえるが、曲がっている最中はそうはいかない。

アクセルを踏むとフロントタイヤのグリップレベルが下がるということは、クルマを曲げ続けようとする力は減る。逆にリアタイヤのグリップレベルは高まるので、リアタイヤがクルマを真っ直ぐに進めようとする力は強まる。ハンドル舵角を一切動かさなくても、アクセル操作でクルマが旋回する軌跡は変わるわけだ。と、このような“ウンチク”から始まる理由はというと…

実は昨年11月にマイナーチェンジされたBMW335iクーペに乗って、僕はそのあまりの気持ち良さ、楽しさから取材時間を延長して試乗を続けた。なぜ楽しいと感じるのか? その答えを探ってたどり着いた先が、前述したような荷重移動を積極的に使いこなせる動きにあったのだ。

ここで大事なのは「積極的」という言葉。というのも、前述した特性は4輪駆動だろうがFFだろうが、どのクルマも例外なく持っている。だが、335iクーペの場合、その特性が解りやすく、さらには使いやすい。そこにはBMWがこだわっている50:50という前後重量配分が荷重移動の効果を鮮明に打ち出しているからという理由も関係するが、核心は別にある。それが、クルマと対話できる特性だ。

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