暗闇の中のキセキか? ひとり勝ち、TTの秘密
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:菊池 貴之
過激なまでのガソリン高ですっかり需要が冷え込んでいる上半期のニッポン輸入車市場。しかし、ひとり気を吐いているブランドがあるのをご存じだろうか。
それはアウディ。今年に入り、各ブランドが軒並み対前年比を割ってるところを、アウディのみプラス5%。もちろん数字はハデではないし、元々の台数が少なかったと言えばそれまでだが、とはいえ年間1万5000台を超える(日本市場のみ)ブランドだ。大変な健闘といっていいだろう。
中でも“意外”と言っては少々失礼だが、好調に売れているのが「TT」だ。聞いて驚くなかれ、今年上半期だけで1480台! コイツはBMW・Z4、メルセデスSLK、ついでにポルシェ・ケイマンといった直接的なライバルのほぼ2倍の台数なだけでなく、国産スポーツカーで一番売れている、マツダ・ロードスターより上を行く。つまり今、日本で一番売れているスポーツカーなのだ。
秘密はカンタン。最大の原因はシートが4つあることだ。なにしろZ4はもちろん、SLK、ケイマン、ロードスター、日産フェアレディZ、ホンダS2000に至るまですべて2シーター。TTのような2+2は、ハッキリ言ってポルシェ911しかない。
あとは値段である。SLKが550万円以上、ケイマンが600万円以上するのに対し、400万円台から始まる輸入車はこのTTとZ4のみ。こと2+2に限って言えば、1100万円以上する911の半額以下だ。メチャクチャ実用的かつお買い得なのである。
もちろん、TTはこのジャンルで唯一のFFもしくはFFベースのフルタイム4WDであり、こと走りの純粋性ではFRやRRレイアウトのライバルたちに一歩劣ると“されている”。“これはスポーツカーではない”と訝しむ者もいる。だが世の中、そうそう走り味を追い求める人ばかりではないし、それ以上にこの2代目TTのハンドリングはFFとしては破格にいい! その上、今回のようなハイパワー版が加われば鬼に金棒!! そこで日本という“隠れTT王国”を揺るぎないものにしようと本国ドイツから送り込まれた刺客がこのTT初の“S”モデルである「TTS」なのであーる。おわかりかな?
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