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ジャガー最速の量販車! XKR-S ポルトガル試乗

最強モード下のDSC介入はどうか

そして、最強モードである“Trac DSC”をチョイスすると、カウンターステアを当てられるほどテールスライドを許容し、ドライバーの意志でクルマの姿勢を作ることができる。DSCの介入はギリギリまで遅らせ、ドライバーの自由度が高くなっているのが明らかに実感できる。

一般道におけるセーフティネットとしてのDSCは、側突による致死率の高さから横滑りを抑える必要性がある。一方、サーキットにおいては、コーナーへの進入でいかに姿勢を変えられるかというのが速く走るポイントとなるわけで、この時にテールスライドを止められてしまうとドライバーとしては不満を覚える。むしろ、立ち上がりのトラクションが大事なのだが、この点、XKR-Sは、eDiffという電制のディファレンシャルによってトラクション性能が高められている。横方向はドライバーがコントロールして、縦方向はクルマがしっかり前に進めるという理想的なコンビネーションが取れるのだ。しかも、スイッチ一つで安全重視から限界域でのドライビングプレジャーまでカバーできるのがうれしい。ハイパワースポーツカーだからといって、雨の日の一般道をビクビクしながら走るような不安感はない。

もっともこの「両極」はハンドリングに限ったことではない。一般道において、さすがにコツコツしたタイヤの当たりはあるが、しなやかな乗り味はジャガーネスを感じるし、シフトプログラムも効率を追求したものとなっている。XKR-Sは、サーキットで開発されているが、あくまで軸足は一般道にある。日常的な快適性や上質感、安心感をスポイルすることなく、サーキットでの非日常を楽しめるスポーツカーである。

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