第三のボルボV40、クロスカントリーに速攻試乗
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:篠原 晃一
完成度の高い走りに加え、さらに感心したのが安全装備の充実と“その作動”だった。最近では様々な方式で“ぶつからない”“ついていく”“見逃さない”等の安全装備が充実しているが、その作動に関してはメーカーによって様々。この辺りの作動の味わいには、意外にメーカーの色やフィロソフィが色濃く出るともいえる。
そうした意味でボルボのアダプティブ・クルーズ・コントロールは、おそらく現存するクルマの中で“イチニ”を争う優秀なものだといえる。まず何より前車との車間距離の取り方が、他車よりも短い。試乗会まで連れていったメルセデス・ベンツのBクラスと比べたが、Bクラスより前車に近づいて追従する。また、アクセルやブレーキの制御もとても滑らかなのが印象的で、かなり違和感のない作動を行なっていることが確認できた。おそらく助手席に乗っている方は言われなければ気が付かないレベル。それほどにきめ細やかな制御が行なわれていたのだ。
その他にもレーン・キーピング・エイドやレーン・チェンジ・マージエイド、クロス・トラフィック・アラートなど、きめ細やかな予防安全装備が充実しており、このクラスでは確実にトップの装備内容といえる。この辺りはエンジニアのエイブラハムソンさんも自慢の部分。「2020年にボルボ車での死傷者重傷者をゼロにしようという目標をかかげて安全には力と入れ続けています」と語ってくれた。しかも、通常はそうした装備すべて込みで20万円のオプションとなるが(それでも十二分に安い!)、セーフティ・エクスペリエンス・モニターキャンペーン実施中の今なら、なんと“無償”で手に入れることができる。
そう、V40クロスカントリーはイマドキのオールロード系スタイルと、シリーズで最もダイナミックなパワートレーンを搭載し、そして乗り味&走り味も洗練されている。加えて安全装備がクラス最高峰なのだから、まさにパーフェクトなプロダクトといえるだろう。ダメ押しともいえるのが価格だ。これだけ揃って359万円は、極めてリーズナブルといえる…とまるで、テレビショッピングみたいな記事になってしまったけれど、事実そうなのだから仕方がない。
しかも、あらゆるものを揃えたカジュアルなライフスタイルビークルというだけでなく、最後の最後に「ボルボらしさ」がちゃんと漂っているのもポイントだ。エイブラハムソンさんはボルボらしさを「文化から来るもの」だという。これはつまり、スウェーデンのケアリング・ソサエティ(生きやすい社会)から生まれる人々の“穏やかさ”から来るのではないかということ。「みんなが幸せだと自分が幸せ」というフィロソフィーが息づくスウェーデン。そうした背景があるからこそ、プロダクトに人間的な温もりが感じられ、単なる機械を超えたものに思えるのではないだろうか。最新のボルボはプロダクトとして最良であったわけだが、同時に最もボルボらしいボルボでもあったのだ。
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