フィットとヤリスをサーキットで乗り比べるとどうなるのか? 次期型フィットRSの走りも見えてきた
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:ホンダ技研工業 173
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:ホンダ技研工業 173
今回トヨタが持ち込んだモータースポーツ用車両は、フィットe:HEVとは対称的な、究極的にシンプルな一台だった。
ベースとなるのは1.5直列3気筒エンジン(91PS/120Nm)を搭載する6MTのヤリス「X」(166万1800円)で、これにラリー用のパーツを装着。「TGRラリーチャレンジ」への参戦を、最もシンプルな装備で提案するものだった。
そしてこれが、驚くほどに面白いのである!
装着されるcusco製のサスペンションキット(なんとそのお値段11万8800円!!)は、減衰力調整や車高調整機能もない純正形状タイプ。バンプラバーやダストブーツは純正を使う実にシンプルなキットなのだが、これが実にいい。グラベルとターマックの両方をカバーする足まわりはストローク量がたっぷり取られており、動きこそ大きいが、荷重の移動がとてもわかりやすい。
思い切りブレーキを踏んでもその制動Gをサスペンションがじわりと受け止め、コーナーでは安全に姿勢変化を楽しませてくれる。だから6MTを駆使して、1.5リッターエンジンを目一杯回しながら走らせると、抜群に楽しい。それはFF版ロードスターといえるプリミティブさなのだ。
ちなみにその足下には「ADVAN A036」というラリータイヤを履かせていたが(サイズは185/60R15)、これも特別なスペックではない。ターマックとグラベルの両方を走れる、コストコンシャスで懐の深いタイヤであり、ズリズリと滑らせても楽しく、かつ懐が深い。ちなみにそのグリップは、Sタイヤ未満だという。
つまりである。極端なことを言えば、6MTのヤリスにcuscoの足まわりを履かせるだけで、誰でもこの楽しさが得られるのだ。
実にやばい。こんなに安くて楽しいクルマがあったなんて!
そしてこれこそが、トヨタがヤリスを小型化してまで求めた走りである。
こんなにシンプルで楽しいクルマに出会えたのは久しぶり。思わず“ヤリス1.5RALLY”と命名したくなる一台であった。
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