フェラーリGTC4ルッソ試乗。4WSが加わった4WDシステムの実力は?
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:フェラーリ・ジャパン
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:フェラーリ・ジャパン
結論から言うと、GTC4ルッソの走りと実用性にいっさいの妥協はなかった。それに、エンジン、ハンドリング、乗り心地とすべての点で先代のFFから劇的に良くなっている。世の中の常識を覆したフェラーリの発想は敬服に値する。FRベースの4WDでありながら、前後重量配分ではフロント荷重を50%以下の47%に抑えたこと、さらに重いエンジンを車両中心に近づけたことで慣性モーメントが抑えられ、ハンドリングは他のフロントエンジンのフェラーリとほとんど変わらないダイレクトなものになった。
排気量6262ccで65度のVバンクを持つV12は、FF比+30psの690psを発生し、0-100km/h加速は3.4秒(FF比-0.3秒)で駆け抜ける。最高出力が得られる8000rpmまで回すと、脳天に突き刺さるような刺激が得られる。頭のテッペンからアドレナリンを浴びる感じだ。しかもLusso(豪華)の言葉どおりブン回さなくても十分に気持ちいい。1750rpmで最大トルク697Nm(FF比で+14Nm)の80%が得られるので、スロットルは1センチも踏んでいれば十分で、パーシャルスロットルで扱うときもちゃんと楽しい。エンジンはどこまでも淀みなく回り、振動は極めて少ない。V12はこの世に存在する最高級のパワーユニットだろう。
エンジンとハンドリングだけでなく、乗り心地も極上だ。コーナーも俊敏に走れるし、スポーツ4WDの常識を覆してしまった。まるでウサイン・ボルトがジャケットを着てお散歩しているような贅沢な走りが楽しめる。
GTC4ルッソは絶滅危惧種と揶揄される自然吸気V12エンジンとユニークな4WDシステムだけでも価値がある。こんなスポーツ4WDはフェラーリしか作れないだろう。日本の価格は約3470万円となっている。
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