ドイツ御三家も超えるスポーツ性と快適性の二面性をもつアルピナの頂点「B8 グランクーペ」の実力とは?
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏 53
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オーストリアの高速サーキット・ザルツブルクリンクに現れたアルピナ B8 グランクーペのエクステリアはフロントにハイパワーなV8エンジンに冷却エアを送り込むための大型エアインテークをもったエプロン、リアトランクリッド上部のエッジスポイラー、ディフューザーの両側にツインエグゾーストパイプが並んでいる。そしてもちろんストライプがフロントやボディサイドに配され、アルピナの控えめな存在を完成させている。ちなみにこのストライプは日本人オーナーに特に好まれているとアルピナのマーケティング担当は語る。
ドライバーズシートに座ると、グリーンのステッチが入った太めのスポーツステアリングホイールの向こうには340m/hまで表示されたスピードメーターと、6000rpmでレッドゾーンが始まるタコメーターが並ぶデジタルディスプレイが迫る。下方に目をやるとピアノブラックに仕上げられたセンターコンソールのiドライブダイヤル手前のシリアルナンバーが刻印されたプレートがオーナー心を満足させるように光っている。オプションで選択可能なラヴァリーナ仕様のレザートリムはしっとりとしたソフトな肌触りでパッセンジャーに高い質感と同時に安らぎを感じさせる。
今回のテストは主にザルツブルクリンクを使って行われたが、結論から言えばアルピナB8はそのエレガントな佇まいや豪華で快適なキャビンをもつ一方で、GTカーとしてのパフォーマンスを存分に発揮してくれた。
トランスミッションはZFがアルピナ向けに用意した8速オートマチック(ZF8HP76)で、BMWオリジナルよりも50Nm増大したトルクに合わせて強化されている。100ミリセカンドで完了するシフトフィールはクイックかつスムースで、ハードなスポーツ走行でもDCTに勝るとも劣らない性能を発揮する。
アルピナ専用に用意されたピレリ製タイヤはフロントが245/35ZR21、リアが285/30ZR21のオプションで、アルピナ クラシック デザインの鍛造ホイールに装着されている。このスペシャルタイヤと強化されたシャーシはサーキット走行でも高いグリップ性能によって素晴らしいスポーツハンドリングを発揮してくれた。
621 psのパワーは圧巻で2.2トンの重さを感じさせずにストレートで軽く270m/hに達する一方、ブレーキはアルピナのロゴが入ったブレンボ製の4ピストンキャリパー×ベンチレーテッドディスクブレーキ(前395mm×37mm、後398mm×28mm)で、コントローラブルかつ圧倒的な制動力を発揮する。この信頼性の高いブレーキのおかげで、コーナー直前までスロットルを緩める必要がなかった。
また、サーキット周辺の一般道路では、まさかレーシングカー並みの性能をもつクルマとは思えないほどの快適なツーリングを楽しませてくれた。ロープロファイルタイヤにも関わらずハーシュネスとは無縁の乗り心地で、これならば助手席はもちろん後席からも不満の声は上がらないだろう。冒頭にドイツブランドのライバルを上げたが、アルピナB8の2面性とエクスクルーシブな存在は既存のブランドを超える魅力をもっていると言えよう。
アルピナ B8 グランクーペは日本総代理店のニコル・オートモビルですでに予約注文が始まっており、価格は左ハンドルが2530万円、右ハンドルは2575万円で導入時期は今秋が予定されている。
※取材記者が独自に入手した非公式の情報に基づいている場合があります。
【 アルピナ B5のその他の情報 】
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