【ノアに積めます】GRが本気で「入門用レーシングカート」を作った真意。価格は“電動自転車”並み…敷居を下げる数々の工夫とは
掲載 carview! 文:編集部/写真:編集部 56
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今回は実際、富士スピードウェイ内のカートコースで試乗も行われた。
筆者は年に1~2回カート大会に出場するアマチュアレベルだが、発進してまず感じたのは、入門用とはいえ、アクセルを踏んだ瞬間から豊かなトルクが立ち上がり、加速が非常に痛快ということだ。200ccエンジンの発する“鼓動感”や“音”が心地よく、これだけでも十分、誰もがエンジン車の楽しさを実感できるだろう。
試乗はCN燃料で行われ、直接乗り比べたわけではないものの、今回の試乗ではCN燃料による違和感などは一切感じなかった。
コーナーに侵入しても動きに安っぽさは微塵もない。ブレーキはブレンボ製が取り付けられるなど、走りだけでなくペダルタッチなども本格的だ。“GR”の名が付くだけあって、安くてもフィーリングはまさに正真正銘のレーシングカートである。
何より面白いと思ったのが、トレッドが狭いため“いい意味で”本格的なレーシングカートより安定性に欠けており、レーシングカートのスリリングさをより低い速度で安全に楽しめるという点だ。短時間の試乗(しかも先導車付き)ながら、アマチュアレベルの筆者でも十分に楽しめたので、筆者より体重が軽い子どもが乗ればより本格的な走行も可能だろう。
開発を担当したGAZOO Racingカンパニーの美濃屋毅氏によると、価格は「最近出始めた電動キックボードや電動自転車に近いところ」を目指して開発しているといい、販売方法は「まずは全国のGR Garage」を想定しているという。レーシングカートのパーツの多くは輸入品に頼っているのが現状なので、GR Garageでの取り扱いとなれば、パーツの入手も容易になりそうだ。
なお、関係者が強調していたのは、あくまでも既存のレーシングカート業界にトヨタという大資本が殴り込みをかけるのではなく、モータースポーツの裾野を拡大し、そこで頭角を表した子どもたちがさらに上のカテゴリーやフォーミュラレースへとステップアップしたり、クルマ好きとなってメカニックやエンジニアとして自動車業界に飛び込んできて欲しいという想いだ。
おそらく“GRカートの儲け”なんてほとんどない。「カートを作るなら1台でも多く車を売れ」というのが投資家の心理だろうが、それでは日本の自動車業界の将来の競争力を削いでしまう危機感がトヨタにはあるのだろう。
となるとやはり、GRカートが普及するのに大事なのが“走る場”があるかどうか。TGRとしては、GRカートはJAFやSLといった既存のカートレースのさらに下のカテゴリーを想定しており、美濃屋氏によると、普及のために新たなレースシリーズの開催も構想中とのことだ。
現在は生産体制を準備している段階ということで、具体的な販売時期が明言されたわけではないが、関係者の話を聞く限り2026年のどこかでは市販版がお披露目されるのではないだろうか。
(終わり)
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