Eクラスワゴン国内試乗 人はワゴンに何を望む?
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:中野 英幸
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次に乗ったのは、注目のBlueTEC直噴3リッターターボディーゼルを搭載するE350 ブルーテックステーションワゴン アバンギャルドだったが、このクルマのエンジンに関しては別に詳しいリポートがアップされるとのこと、ここではサラッと印象を書いてみよう。
まずエンジンだが、ディーゼルであることがNVHで実感できるのはアイドリング時くらいだろうか。振動は気にならないが、耳を澄ましてみると微かにガソリンエンジンとは違うアイドリング音を奏でているのが分かる。あとはタコメーターのリミットの数字が低いことくらいか。もちろんトルク、パワーとも不足はなく、ターンパイクの上りも望むだけのペースで駆け上がっていく。それに加えて、クルージング中などにごく軽くスロットルを踏み込んだときの、パーシャルのレスポンスがすこぶる繊細なのが素晴らしい。つまり、スロットルコントロールを積極的に愉しめるディーゼルエンジンということだ。
ただし、BlueTECディーゼルエンジン搭載にともなうシャシーの設定は、必ずしも好ましいものばかりではなかった。まず、リアのスペアタイヤ用スペースに尿素タンクを収めた結果、17インチサイズではランフラットタイヤが標準装着されたが、これが前のページに書いた非スポーツ系メルセデス独特の絶妙な乗り心地に、少々悪影響を与えている。ランフラットタイヤが硬いことに加えて、車重がガソリンのE350に比べてなんと200kg、4MATICと比べても100kg重くなっていることから、当然サスペンションも固められているはずだ。したがってノーマル系と比べると乗り心地が明らかに硬めになっている。とはいえ、スポーツ系のクルマのような硬さではないので粗っぽい感触は皆無だが、あの絶妙な柔らかさを失ったのは惜しい気がする。オプションの18インチタイヤを選べばランフラットでなくなるらしいが、17インチでもランフラットではなくパンク修理材積み込み対応になれば、乗り心地はぐっとノーマル系の快適さに近づくと想像できるので、そうして欲しいところだ。近ごろの日本の道路、めったにパンクすることはないのだから。
と同時に車重増加の影響で、コーナーでは身のこなしの軽快さが若干失われたのを感じた。とはいえ、乗り心地の分野での話と同じく、ハンドリングの分野でも破綻があるわけではなく、これはこれでひとつの完成形に仕上がっているといっていい。ただ、ガソリンモデルと直接乗り比べるとはっきり違いが分かる、ということだ。だから、そういったシャシーの乗り味の違い以上の魅力をBlueTEC直噴ターボディーゼルに感じたら、E350ブルーテックを選べばいいということだと思う。いずれにせよ833万円はバーゲンだろう。
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