新型インスパイアに試乗 気筒休止は3パターンに

いい意味で燃焼モードの制御は体感できない

実際にインスパイアを走らせると、発進時や加速時は6気筒、巡行時は3気筒、緩加速では4気筒といった設定で状況に応じた燃焼モード制御がされる。だが、たとえばアクティブノイズコントロールによりスピーカーから何か特別な音が聞こえてくるわけではないので、基本的にはVCMの制御は体感できない。むしろ、周囲の流れに合わせて走るだけなら、エンジンは優れた静粛性と滑らかな吹き上がりを実感させてくれる。燃焼モードの制御が切り替わっても、力強さの面で不満を感じることはなく、アクセル操作に対する応答性も速やかだ。

しかも、インスパイアは単に快適なだけの高級サルーンカーではない。ホンダのエンジンらしく、アクセルを踏み込めば刺激的な加速も楽しめる。さらに、その際は燃焼モードが6気筒に変わったことをあえて知らしめるように、鼓動感のあるエンジン音を響かせる。そして、レブリミットの6800回転まで一気に吹き上がる。

なおかつ、エンジンの性能を持て余すことがない。コーナーの立ち上がりでアクセルを踏み込んでも標準装備のVSA（横滑り防止装置）の出番はなく、路面に十分な駆動力を伝えながら鋭く加速体制に入る。高速域で得られる直進性の高さもインスパイアの魅力だ。ステアリングは中立状態で落ち着き、路面の継ぎ目などを通過してもサスペンションはしなやかに動き高い接地感を保つ。

また、インスパイアはエンジンの搭載位置を下げフロアも低床化したことで重心が低くなっている。逆に、ロールセンターを高くして重心と近づけることでサスペンションを引き締めることなくボディのムダな動きを抑えている。したがって、余計なピッチングやロールを意識することがなくフラットな走りを実現。ステアリング操作に対する応答性も小気味よく、直進状態に戻る際の復元性も素直だ。