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新型パサート/パサートヴァリアント速攻試乗

ステアフィールはFR車の域に

試乗したのはセダン/ヴァリアントともに17インチタイヤを履く「ハイライン」だった。1.4リッターTSIエンジンは、持ち前の太くフラットな低速トルクを活かし、セダンで1430kg、ヴァリアントで1470kgのボディを軽々と加速させる。このボディサイズに122psというスペックでマトモに走るのか? と不安を抱く人もいるだろうが、よほどのスピード狂でもない限り動力性能に不満を感じることはないと断言できる。

それ以上に驚いたのが乗り味の上質感だ。走りだしてものの10メートル程度走っただけで、ガッチリしたボディと、ゆったりしなやかな足の動きと、ケタ外れの静粛性にノックダウンされそうになった。ゴルフも同じ傾向の乗り味をもっているが、ガッチリ感、ゆったり感、静粛性の各項目で、新型パサートはゴルフを上回る実力を示す。簡単に言えば、さすが兄貴分だけのことはあるな! と思わせてくれるのだ。弟分のゴルフをドライブフィール面で追い越せなかったのがパサートの歴史だが、新型はゴルフを上回る上質なドライブフィールを獲得した初めてのパサートになった。

摩擦を究極まで減らし、素晴らしい滑らかさを実現したステアリングフィールにも感心した。このあたりはゴルフやシャランといった最新のVW車に共通する美点だ。渋さを徹底的に除去し、必要なインフォメーションだけをしっかりと、リアルに伝えてくるステアリングの感触はもはやよくできたFR車の領域に達している。アイドリング時に掌に伝わってくる振動をほぼ完璧に抑え込んでいることを含め、FFでこれほど上質なフィーリングを実現したVWの技術力にはただただ驚かされるばかり。回すだけで快感を覚えるステアリングなど滅多にお目にかかれるものではないだけに、これはぜひ一度実際に試乗して体験してみることをオススメしたい。

ハードなコーナリングを試す機会はなかったが、高速のインターチェンジにあるようなカーブを少し速めのペースで回り込んでいく際の安定感はピカイチだった。ターンインではことさらステアリングワークに気を遣わなくても狙ったラインにノーズがスッと向くし、定常旋回状態ではまるでレールの上を走っているかのような抜群のトレース性能を示す。足は決して固めではない。むしろしなやかに動くのだが、実際の寸法よりはるかに広いトレッドをもっているかのような、グンと踏ん張った安定感も印象的だった。

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