スープラ・多田CEが語る、4気筒の魅力、MTがない理由、ドリフトしにくい理由
掲載 更新 carview! 文:ケニー 中嶋/写真:ケニー 中嶋
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Q. 多田さんがスープラに求めた理想の走りは?
A. 86の開発を始めた時、トヨタはスポーツカーを持っていませんでした。そんな中でスポーツカーと接していないお客様とどう向き合うかを考えた時、限界を下げて早めに滑り出すけれど、そのあとの挙動が掴みやすく、クルマをコントロールする楽しさを覚えたり、カスタマイズの効果なども勉強できるクルマを目指しました。そんな86からのステップアップ--飛行機で言えば練習機でレベルが上がったので今度はジェット戦闘機に乗ってみたいと思う感覚。それが味わえるクルマがスープラです。
ある程度テンションを上げて、ボーっとしていたら危ないよというくらいのクルマになるといいなと思っています。まさにレーシングカーという感覚です。たとえばF1マシンだってドリフトして走っているわけではないんですよね、滑り出す限界を探りながらオンザレール感覚でターンインもコーナーリングの途中も出口も全てニュートラルに走る、そういうことが楽しめる特性を目指しています。
アクティブデフやホイールベースを詰めたこともあり全てのアスペクトでものすごくニュートラルに走ることができるんです。無理にテールを滑らせるのではなくオンザレールの感覚で気持ちよく走らせられるクルマに仕上がっていると思います。とはいえ、プロのドリフターが乗れば横に逃げて行くのではなく前に進むドリフトができるクルマに仕上がっているので、競技ドリフトみたいなところでも成績を出すことができると思います。もちろん腕は要求されますが(笑)。
Q. デザインに対して多田さんが希望したものは?
A. 5代も続いているモデルなので、一目でスープラとわかる形にしたかったこと。とはいえリバイバルモデルを作る気はまったくなくて、今の形で、かつクルマは小さくということです。大きな6気筒エンジンを搭載するので放っておくと自由度の高い大きなデザインになりがちです。結果重くなり、またドライバーからの見切りも悪く、四隅のタイヤ位置がわかりにくく、運転しにくくなるので、いかに凝縮させて作るかが鍵になりました。
とはいえ小さいから貧相に見えてはだめじゃないですか、小さいながらも“塊感”のあるグラマラスな形を求めました。そんな無理な要求にデザイナーが一生懸命応えてくれました。7名のデザイナーが日本からドイツに渡り、2年半駐在して頑張ってくれた結果です。
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