続・GT-R 2011モデル 中古オーナーにも朗報
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆
GT-Rワールドを構築する要素として、最後にもうひとつ紹介しておくべきものがある。それがサーキット専用のクラブトラックエディションの登場だ。
GT-Rの驚異的な性能を思う存分楽しみたいというコアなユーザーの声を叶えるべく開発されたという背景もあって、購入後3年経過するまではナンバーを取得する事ができない。基本はナンバー無しの、サーキットでの楽しさを追求した特別車である。
基準車と異なるのは、内装装飾類を外して軽量化を施しつつ、サーキットでの安全と性能を追求して4点式ロールゲージ(OPで6点式)や6点式シートベルト、跳ね上げ式専用ステアリング、そしてサイレンサーレスの排気システムやスリックタイヤ装着に合わせて味付けされた専用ショックアブソーバーなどが装着される点だ。シートだけは体形などによっても好みが大きく別れるので、OPでフルバケットシートが用意されてはいるが、基本好きなシートを選んできて装着する形態を取っている。簡単な話がそのままレースに出られる超ド級の性能を持ったGT-Rというわけだ。
価格は車両本体だけで1050万円。そこに車両保管を含めたトラックエディション専用のメンテナンス体制やサーキットサポート体制、さらには年4回のドライビングスクールなどを含む約300万円のオフィシャル走行プログラム体制が用意されている。
普段は一切乗れないクルマなのに、高い! と思われるかもしれないが、このクルマは一般車を見る価値観では測れない。トップクラスの速さを備えたレースカーと見るべきであり、その価値がわかるユーザーに興味を抱いてもらいたい。ちなみにその走りは、徐々にタイヤに熱が入りグリップが増して最終的には首が痛くなるほどの旋回能力を生み出す速さや、アクセル操作と連動して激しく耳に届く刺激的な排気音、そして自分の体の一部のように意思と直結してクルマが動きコントロールできる特性といった具合だ。
それは楽しさと刺激と速さに満ち溢れた湯船にドップリと浸かるようなもので、走り好きならそこにずっと留まっていたいと思うほど魅力的であり、2011年ノーマルモデルの走りの楽しさや気持ち良ささえ霞んでしまうほどだ。
このようにGT-Rに関わる全てのユーザーを満足させるべく構築されたGT-Rワールド。3年という時間はかかったが、このような戦略はひとつのクルマ文化を作り上げるものであり、GT-Rが速さに特化したクルマという認識を改める必要を感じた。
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