ニュル最速のLFA試乗 求めたのは“至高の味”
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:河口 まなぶ
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:河口 まなぶ
サスペンションはサーキットをそのまま愉しめるよう、当然高いレートで構成される。しかしそれが却ってオープンロードで、逞しくしなやかな動きを見せる。クルマ全体に塊感があり、余分な動きなく意のままに扱える感覚が乗り心地から感じられる。
しかも、ノーマルに対してステアリングもブレーキも一切変更していないにも関わらず、そのフィールは大幅にグレードアップしている。タイヤとサスペンションが変わったからだ。ノーマルよりもかなり情報を伝えるタイプで、いまどんな作動をしているかが極めて把握しやすい。
アウトバーンA48は今なお速度無制限区間が続く場所。僕はそこにアクセスし、可能な限りスロットルを踏み続けた。すると室内にこだまする音はノーマルよりもさらにボリュームがあり、気持ちの奥底にまで届きそうな感覚がある。そしてこの時、身体には強い加速感が伝わってくる。いくら大排気量とはいえNAエンジンだから…と思ったが、その加速の力強く伸びやかな様には改めて驚かされた。こんなに美しく滑らかながら速い加速はほかで感じたことのないものだ。
それだけにメーター読みの300km/hにはアッという間に到達し、さらに速度は伸び続ける。さすがにメーター読みで320の数字は見えなかったが、その手前まではアッという間だった。しかもその時、感覚として滑らかさが残っている点も独自。
スタビリティも非常に高く、むしろ速度が上がるにつれ路面に吸い付く。また超高速域でのコーナリングも全く不安なくこなす。そして何より、気持ち良さの極み…ともいえる世界が繰り広げられるのだ。
実際に触れてみて、成瀬氏のやりたいことがわかった。単に圧倒的なパフォーマンスを示したかったのではない。そこに求めたのは、ある意味究極的な楽しさや気持ち良さ、そして操る歓び…といった至高の味である。そしてもちろんその味は、氏という“人”が造り上げ、それを受け継いでさらに磨き上げた人たちによって完成されたものだ。
LFAニュルブルクリンク・パッケージは、極めればこそ行き着く先を思わせる。つまりそれはクルマそのものだけでなく、まるで人の生き方の理想をも示しているように思えた。そう思うと僕は改めて、拙いけれどこのレポートを成瀬弘氏に捧げたい。
成瀬さん、素晴らしいクルマを本当にありがとうございました。この味から学んだことを僕は今後の力として、日本の自動車がもっと楽しく気持ち良くなるよう、強く発言していきます。
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