2013GT-R試乗。雨天のコントロール性、向上
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
2013モデルの話に戻ろう。今回試乗した場所は、宮城県にある菅生サーキット。天候は…恐怖の雨!
このグリップが期待できない環境でも、ドライ路面で0-100km/h加速2.7秒の実力の片鱗は確認できる。スタートダッシュ専用のローンチ機能を起動すると、雨の路面コンディションにも関わらず、ほとんどホイールスピンをすること無く静止状態からクルマがドンッと加速して、アッという間に100km/hに到達する。
リアタイヤがクルマを押し出しつつ、フロントタイヤがクルマを引っ張る。言葉ではたったこれだけのことだが、“加速による姿勢変化がもたらす前後荷重移動によるグリップ変化”まで踏まえて調整された、前後の絶妙なトルク配分が見事すぎる。雨であることを疑いたくなる加速レベルは、世の並みのハイパフォーマンスカーの“ドライ”路面でのスタートダッシュよりも間違いなく鋭い。
もちろん、これは日常の使用環境とかけ離れたパフォーマンスだ。しかし、超ド級の加速能力が日常の穏やかな加速シーンでも圧倒的な余裕を生み出し、あらゆる環境下でドライバーの精神的疲労度を軽減するのは間違いない。ボクもGT-Rを所有してからは、雨の日には必ず「このクルマ以上に雨の中を安心して走れるクルマにはなかなか巡り会えないはず」と、所有満足度が上がったものだ。
高級を生み出す原点は余裕の性能にあり、クルマが頑張って走っているという感覚をドライバーに与えたら、高級車は終わりだ。GT-Rとは“超ド級の性能がもたらす余裕”を具現化した典型的なクルマでもあるだろう。
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