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メルセデス初のBEV、EQCはSクラスを彷彿させる上質感だが価格はやはり1000万円オーバーか?

メルセデス初のBEV、EQCはSクラスを彷彿させる上質感だが価格はやはり1000万円オーバーか?

メルセデス・ベンツ EQC

欲しいと思えるほどの高評価も1000万円超えが悩ましい

しかしハイライトはアクセルペダルを踏んだ時の感動だろう。モーター駆動ならではの静かで滑らかで力強い走りはもちろん、EQCはそこにメルセデス・ベンツらしさがしっかりと詰まっていると思えた。これまでも内燃機関を搭載したメルセデスのアクセルの感触は、踏み込みこそ重めだが踏んでいく時の操作量は分かりやすく、巡行時にはアクセルの踏み込んだ状態を固定しやすい。言い換えればそれはアクセルペダルだけでも品質の高さを感じさせるものだった。それがEQCでは、これまでのどのモデルよりも濃密に感じるのだ。

なぜならばモーターは内燃機関以上に緻密に回転や出力をコントロールできる。それだけに例えばアクセルを数mm踏んだ時に、これまでの内燃機関では無反応だった部分でもキッチリと反応させることができる。もっともそれだけに、操作に対して過敏になる可能性もあるわけだがそこはメルセデスで、人の感性に逆らわない、いやむしろ感性にジャストミートするフィーリングに仕立てていると感じた。アクセルをゆっくりと少しずつ開けていくと、それに応じてモーターも実にいい具合で反応し、気持ちよく足の動きにシンクロしたスーパースムーズな加速を見せる。そんな一体感の高い操作性はまさに、メルセデスの電気自動車ならでは、と思えるのだった。

しかし一方で気になるのは実際の航続距離や電費などを鑑みた使い勝手だろう。EQCは航続距離も電費もカタログ値では優れていたが、今回の試乗におけるメーター上での電費は悪い時で24.5kWh/100km、良い時で21.0kWh/100kmという具合だった。厳密には言えないが、例えば約100km先に出かけて帰ってくるような状況であれば、無充電でも問題ないだけのパフォーマンスを持っているといえる。が、おそらくメーター表示を見たら、帰りのサービスエリアなどでCHAdeMOを使いたくなる走行可能距離や電池残量になっているのは間違いないだろう。この辺りは、日本上陸後にテストするのが楽しみだ。

さらに気になる価格だが、ドイツでは7万1281ユーロで、導入時記念モデルのEQC Edition 1886は8万4930.3ユーロとなっている(約870~1000万円)。日本でも年央に発表、年内には上陸を果たしそうだが、新型車導入時に記念モデルをまず設定するのが常となっていることを考えると、1000万円は確実に超えてくることになるだろう。

実は今回、僕はEQCに興味津々だった。なぜなら次期愛車候補として電気自動車も視野に入れており、今回乗って判断したいと思っていた。そうした視点からのEQCに対する個人的な評価は「これは欲しい!」と素直に、強く思えるものだったということもお伝えしておこう。しかしながら、価格は高額なので相当に悩ましいのも事実である。またこの価格帯になると、同じSUVタイプとしては今後登場するだろう1クラス上のGLEなども比較検討できる。とはいえ結論としては、走りの良さや性能、そして様々な機能を含めて、新しい物好きとしてこれを生活の中で使ってみたい! と思ったのは本音である。

試乗レポートとしての締めの言葉を記すとするならば、やはりその乗り味走り味の良さに尽きるだろう。その意味でEQCは、電気自動車になってもやっぱりメルセデスといえる1台だったし、これまでのどのメルセデスよりもメルセデスらしい、といえる1台だったのだ。

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