ボルボXC60ディーゼルが遅れて上陸。熟成したシャシー性能を味わいたい
掲載 更新 carview! 文:石井 昌道/写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:石井 昌道/写真:菊池 貴之
XC60はSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)と呼ばれる新世代のプラットフォームを採用している。2016年に登場したXC90が初出のSPAは、従来に比べてシャシー性能を大幅に向上させているが、今回試乗したXC60 D4ではかなり熟成が進んできたことを実感した。
サスペンションなどの動きがスムーズでぎこちなさがまったくない。とくに電子制御エアサスペンション(オプション)が熟れてきた感がある。以前は、路面の凹凸がたとえ小さくても連続して現れるとバネレートが急に硬くなって突き上げ感が増すようなことも見受けられたが、今回の試乗ステージではそんな素振りもみせず、快適かつ安心感の高い乗り味を常に提供していた。
現在のボルボのハンドリングは、いたずらにスポーティさを追いすぎることなく、素直でコントローラブル、どんな場面でもリラックスしてドライブできる味付けが特徴的。XC60もまさにそういった雰囲気で、ワインディングを走っていてもクルマ側から必要以上にせかされている感じがなく、適度なペースで最新の良く出来たシャシーをじっくりと味わうのが合っている。ステアリングのフィーリングが、スポーティなモデルほどダイレクトではなくソフトタッチなこともあって、あんまりすっ飛ばす気にはならない。
とはいえ、攻め込むような走りを試しても望外にしっかりとしていて実力は相当に高い。以前、SPAのエンジニアに話を聞いたときに、旧世代のボルボはダイヤゴナル・ロール(コーナーでフロント外側が沈み込む)が大きかったので、現在はそれを抑制してフラット感を大切にしていると言っていた。SPAはプラットフォームの容量が大きいので、そういった味付けにしても乗り心地に硬さがないのがいいとのことだったが、それが攻め込んでも不安を感じさせない要因でもあるのだろう。サスペンションは常にしなやかだが、ロールやピッチングが抑えられて安定感があり、乗員の身体がブレにくいのだ。
シャシーでもドイツ勢を凌ぐほどの性能があり、しかもパフォーマンスの高さを誇示しすぎないスマートさも見せる。静かでトルク自慢のD4を搭載したXC60は、気は優しくて力持ちな独特のキャラクターに仕上がっている。
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