新型SL 開発期間11年が生み出した劇的進化

メルセデス初のフルアルミボディ

スポーツ・ライトウェイトをモデル名の由来とするメルセデス・ベンツのSLが6代目へとフルモデルチェンジしたので紹介しよう。

1952年の初代（300SL）誕生から逆算すると、ひとつのモデルが10年以上を請け負う典型的なロングサイクルモデル。今回も11年振りのモデルチェンジ。その長い期間の技術蓄積量が莫大なのだろう、毎度のことだがSLは劇的な進化を遂げる。

振り返れば先代では、バリオルーフと呼ばれるハードトップ型オープン形式を採用。オープンカーとしての魅力に加えて、クーペが持つ静粛性も手にして、優雅さや高級感に磨きを掛けてきた。では、6代目の最大の進化・特徴は何か？

モデル名由来の原点を見据えた、ライトウェイトにある。その狙いは、走行性能と環境適合性の両立。平たく言えば、スポーツとエコの両立にある。

それを実現する要の技術が、メルセデス初となるフルアルミボディの採用。従来のスチール製に比べ、SL350で140kg、SL550で125kgもの軽量化に成功。それでいてダイナミクス特性を左右する “ねじり剛性”を20％アップさせているから驚きだ。また後にその効果は詳しく述べるが、高い位置にあるルーフフレームにはより軽量なマグネシウムを使うなど、単に軽くするのではなく重心を下げて、ダイナミクス特性を効率よく得ようとする狙いが伺い知れる。

次のページでは、装備にも見て取れる11年の開発の“重み”について解説しよう。