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812スーパーファストは、最新技術の粋を集めた極上のサラブレッドだった

成熟したテクノロジーが頬を緩ませる

そんなパワートレインの悦楽に思い切り浸れるのは、シャシー性能が飛躍的に高められたおかげに他ならない。F12ベルリネッタはステアリングレスポンスがやや過敏で、それも相まってかリアの安定性にも物足りなさがあった。それが812スーパーファストでは、操舵に対してわずかなサスペンションの沈み込みを意識させつつ意のままにノーズが入っていくし、その際もリアの安定感をしっかり感じることができる。非常にナチュラルで、且つシャープなレスポンスには頬が緩みっぱなしになる。

それを可能にしたのは、まずは後輪操舵機構だ。最大2.15度まで、前輪と同位相に操舵を行なう。更に、フェラーリ初のスポーツEPS(電動パワーステアリング)も貢献度は大きい。通常のステアリングでは、後輪操舵でクルマの向きが更に変わっても操舵感にはフィードバックされないため、掌の感覚と実際の挙動にズレを感じがちとなる。しかしながらEPSならば、電子制御だけに後輪がステアした分を加味した操舵感を自在に作り出すことができる。つまり違和感無しに、よく曲がり、安定感たっぷりな挙動を実現しているのだ。

もちろん、それは緻密なセッティングの賜物であることは言うまでもない。EPSなど今さら珍しくも何ともないが、「新しい技術が世に出ても、私たちはすぐに飛びついたりはしません。フェラーリに採用するに相応しいレベルまで成熟した時、初めて搭載するのです」という開発メンバーの言葉、この走りを味わった後では、ただただ納得するばかりである。

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