439万円でもお買い得!? 新型「セレナ オーテック・スポーツスペック」は上質さと走りのバランスが絶妙だった
掲載 carview! 文:編集部 3
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とは言っても「プレミアムスポーティ」を謳うのだから、やはり走ってなんぼである。
テストコースでのわずかな試乗時間だったため、ロングドライブ適性や街乗り性能の評価を下すのは難しいが、乗り始めると、ハンドルを切った初期から大きなボディが自然と素直に反応していくのがわかる。
コーナーも高速時(80km/h前後)もフラフラすることなく、ミニバン特有の “よっこらしょ感”はほとんど感じない。ベースとなったセレナも先代から大きくレベルアップしたが、クルマがドライバーの意図通りに動くのでむしろ安心感を感じられる。「速く走るスポーティ」ではなく、「ドライバーとクルマの対話を楽しむスポーティ」なので、これならクルマの運転が不得手なユーザーもむしろ運転しやすいのではないだろうか。
ミシュランパイロットスポーツ5も、スポーツタイヤ特有のゴツゴツした感触は一切なく、むしろしなやかに大柄なボディを支えてくれるので狙ったラインを気持ちよくトレースしてくれる。余計な操作が減るので車酔いも少なくなるのでは、と感じた。
>>「セレナ オーテック・スポーツスペック」を写真で詳しくチェックする
ちなみに商品企画の担当者によると、先代セレナに設定されていたオーテックスポーツ・スペックの性能が現行セレナのハイウェイスターぐらいのポテンシャルだそうで、いかにレベルアップするかが今回の肝だったそうだ。
そんな新型スポーツ・スペックの性能向上の大きな武器となったのがヤマハのパフォーマンスダンパー。走行性能だけでなく不整地での“ガタピシ音”を抑制してくれ、上質さの向上にも一役買ってくれているそうだ。
もちろん標準車よりも足回りを締め上げているので、不整地では多少コツコツとした入力があるのだが、上質かつスポーティという絶妙なバランスに仕上がっているのは、オーテックが長年培ってきたチューニングノウハウとパフォーマンスダンパーによるところが大きのだろう。
なおモード切り替えだが、個人的には「スポーツ」はレスポンス含めちょっと過剰に映った。もちろん個人の好みによるし、多人数乗車時や荷物を多く載せた状態だともう少しマイルドに感じるのかもしれないが、同乗者がいる機会の多いミニバンのセレナなら、「スタンダード」でパワー不足も感じず十分滑らかで気持ちが良いので、もし筆者が買ったらスタンダードから切り替えることはほとんどないだろうな、と思ってしまった(それだけスタンダードのバランスが良いのだが)。
走りはスポーツカーに匹敵する! なんてことはもちろんないのだが、ドライバーが気持ちよく運転でき、それでいて同乗者も不快にならずたくさんの荷物を積める利便性と安心感(プロパイロットはハンズオフのできない1.0だが)を備え、ディーラーで買えてメーカー保証まで付いた438万6800円という値段は「お、ねだん以上。」ではないだろうか。
ちなみに、セレナの最上級グレード「ルキシオン」の価格は484万7700円。プロパイロット2.0の先進性と豪華さか、スポーツスペックの走りと人と違う特別感かは悩ましいところだが、日産の最上級ミニバン「エルグランド」があんな状況(どんな状況?)なので、オーテック・スポーツスペックはその受け皿を十分満たせるだけのポテンシャルがあるように思えた。
(終わり)
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