日産デイズ試乗 性能も見栄え品質もこれまでの軽の枠を超えてきた
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:望月 浩彦 5
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:望月 浩彦 5
「いま思うと割り切りすぎました」というある開発者の言葉通り、先代デイズは静粛性も、乗り心地も、動力性能も誉められたものではなかった。軽自動車なのだからこんなものでいいだろう、という割り切りをしたものの、他社が想像以上に性能を上げてきたため、相対的に競争力が弱くなってしまった。そんな反省を踏まえ、走行性能をグンと高めてきたのも新型デイズのトピックだ。新設計のエンジンは、自然吸気版のトルクを全域でアップ。ターボ版もより低い回転域からフラットなトルクを発揮する特性になった。
組み合わせるCVTには4800rpm以上の領域でATのような変速をするステップ制御を導入。常用域ではCVTのメリットであるスムースさを、フル加速時にはATのようなメリハリのある加速フィールを味わえる。静粛性も高い。エンジン音もさることながら、印象的だったのがタイヤノイズや車外騒音の抑え込み。ドアを開けてみてなるほどと思った。さすがに全周ではないものの、上半分がダブルシール構造になっている。このあたりにも、軽自動車らしからぬ贅沢ぶりが表れている。
試乗したハイウェイスターの自然吸気とターボには「スマートシンプルハイブリッド」と呼ばれる簡易型ハイブリッドが搭載されている。モーター出力はわずか2kWだからフルハイブリッドのようなモーターアシスト感には乏しく、燃費改善効果もわずかだが、アイドルストップからのスムースな再始動は大きな魅力だ。
動力性能は、街中メインなら自然吸気でも必要にして十分だ。ただしロングドライブに行く機会が多いなら、オススメはより余裕のあるターボ。強力なトルクとプロパイロットの組み合わせは、軽自動車の常識を覆す快適なロングドライブを約束してくれる。
足回りのセッティングは自然吸気もターボも基本的に共通だが、タイヤサイズは自然吸気が14インチでターボが15インチ。荒れた路面での乗り心地は意外にも自然吸気のほうがやや固めで、ターボのほうがしっとりしていた。両車とも市街地での身のこなしは適度にキビキビしているし、高速走行時の安定性にも不満は感じなかった。
新型デイズは日産が初めて開発した軽自動車だが、その性能や見栄え品質には従来の軽自動車の枠を超えるものがあった。とりわけインテリアの質感はマーチはもちろん、ノートさえ凌ぐレベルに達している。経済性で選ぶクルマからデザインや質感で選ぶクルマに。新型デイズが表現しているのは、エコでお洒落なライフスタイルカーという新時代の軽自動車像だ。
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