アウディ S5 カブリオレ 豪華とスポーツの共存
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:中野 英幸
では、S5カブリオレがなぜ僕のような40代の前半にこそ相応しいのか?
確かに40代は“不惑”とされるが、実際には人生において最も惑わされる時期である。理由は簡単で、気持ちの上ではまだ、大人と子供の両面を備えているからだ。いや僕・河口まなぶだけがそう、ではなく。
クルマに対する気持ちも同じで、40代として落ち着くべきだという大人の分別と、まだまだ走りを楽しみたいという若者の情熱が同居するわけだ。
アウディのラインナップで言えば、落ち着くならA5カブリオレという選択もあるだろう。だが、40代でこれを選ぶと正直、「もう少しスポーツ性の高い走りも味わいたい」という欲が出てくる。逆に、若さに任てせさらに過激なRS5という選択肢もあるわけだが、この場合は「洗練さや豊かさも欲しい」という欲が出てきそうだ。まだまだどちらかに決められない世代、というワケだ。
そう考えると、S5カブリオレはピタリとハマる。流せばラグジュアリー・クーペ的な感触があり、ムチを入れれば十分以上にスポーツになり、オープンエアモータリングの豊かな世界も兼ね備え…といった具合で、その時の気分に併せていかようにも変化できる。しかもそれぞれの側面で、非常に高レベルな世界をきっちりと見せるのだから凄い。
S5カブリオレは不惑の40代の欲張りな思いを満たしてくれる、稀有な1台だ。もっとも、欲張りな思いの実現には、939万円の車両価格をはじめ相応のコストもかかるワケで、「トゥーマッチ」な印象も当たり前なのだ。でも、いろいろ想像すると、なるほど納得の1台である。
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