レクサス RX350試乗 注目技術 ＆ グレード

オススメはバージョンS

そして、今回のRXで最もお勧めするのが、専用スポーツサスペンションと19インチホイールを装着した、RX350バージョンS。タイヤそのものの剛性が上がっている効果もあるが、ハンドルの初期応答性が素直で気持ち良く曲がってくれる上に、タイヤのよれ具合なども伝わってくる。またハリアーに対して50mm以上も広がったトレッドが、カーブでの横方向の力に対する踏ん張り感を高めているが、それを体感し易い。唯一、重量が重いのでブレーキの効きが甘く感じるが、それさえ注意すればスポーツドライブを楽しむことも可能。

そしてこのようなスポーツ性を持ちながら、乗り心地が良いのが好印象。おそらくリアサスペンションをハリアーのストラット方式からダブルウィシュボーン方式に変更したことが効いているのだろう。エアサスモデルには敵わないが、振動の収束の早さまで考慮すれば、ノーマルモデルと同等の乗り心地性能を持っており、19インチを履いているとは思えないほど突き上げ感も少ない。

またハリアーと同様の3.5リッターV6エンジンを搭載しているものの、吸気系チューニングによりトルクが増し、さらには6速ATとの組み合わせが乗り味の質を向上させている。具体的には、重量はハリアーに対して180kg程重いのだが、アクセルを踏んだ際の出足が鋭く、高速巡行でのアクセルの踏みこみ量が少なく済むのがいいところ。

このようにハリアーに対し、乗り味を洗練させてきたRX。率直に言えば、見た目の存在感と合わせ140万円の価格差に相当する価値はあると感じた。だが、最後に一つ付け加えておこう。ここに書いた乗り味は、全て高い安定性を生み出す4輪駆動モデル。2輪駆動では、高速走行時にフワフワした乗り味となり、さらには乗り心地面で振動の収束に時間がかかるなど若干質が落ちる。諸費用込みで500万円を超える高い買い物であればなおさら、燃費は若干落ちるが4輪駆動を個人的には強くお勧めする。