二世代にわたるパッケージ革新を完成させた新型ポルシェ911。プラグインは次期型で登場予定
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:ポルシェジャパン
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:ポルシェジャパン
新型はねじり剛性を5%高めているし、重心点もわずかに低くなっている。しかし、より重要なのは、4つのタイヤと、エンジンやドライバーという重量物の位置関係の変化だろう。
2011年に登場した現行型タイプ991のパッケージではちょっとした謎解きがあったのを思い出す。911のボディパッケージのイノベーションは、大胆なロングホイールベース化を果たしたこのタイプ991から始まったが、そこにはポルシェの非凡さを感じさせる伏線が張られていたのだ。その伏線を辿ると、先代の「タイプ997」から採用されたツインクラッチトランスミッションのPDKにまで遡ることになる。
PDKは、同社がそれまで使っていたティプトロニック(トルコンAT)よりもかなり全長が短く設計されていた。このため、PDKが初めて採用された997型では、リア車軸の位置が合わず(997型のシャシーがティプトロに合わせて開発されていたため)、専用のハウジングを間に挟んで置き換えていた。
謎は次の991型で解けた。PDKは991型(とそれ以後)の、ロングホイールベース化されたシャシーを睨んで開発されていたのだ。991型では、PDKはハウジングを必要としないエンジン直前の本来の位置に収まり、リヤタイヤは結果的に70mmも後ろに移動したのである。
新(現行991)旧(先代997)を比較するとドライバーとエンジンの搭載位置(距離)はほぼ同じだが、991はギアボックスが短くなり、リヤタイヤが後方に移動しているのが良く分かる。コンパクトなPDKが完成したことで、重量物を中心寄りに集めるパッケージのイノベーションが可能となったのだ。
タイプ991は縦方向の慣性モーメントを向上させたが、今回のタイプ992は横方向(左右)の慣性モーメントを改善している。フロントトレッドはカレラS(4S)で+46mm拡大され、リアトレッドは39mm拡大している。左右のタイヤの接地点に対して、エンジンや乗員などの重量物が中心寄りに集まっているのだ。
つまり、997のPDK搭載を伏線として始まったパッケージのイノベーションは、タイプ991で前後、タイプ992で左右の慣性モーメントを大幅に改善し、ついにポルシェ911の理想のパッケージが完成した。その意味では半世紀以上もの時間をかけて進化してきた911は、タイプ992をもって最終章を迎えたと言えそうだ。
ログインしてコメントを書く
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
【クセ強だけど懐かしい】光岡、55周年記念車「M55ゼロ・エディション」発売。100台限定…ベースはあの車
「売れる車がない」なんて言わせない! 北米日産の大型SUV「アルマダ PRO-4X」が魅力的…価格も発表
新型「ティグアン」正式発売で注目集まる豪華装備とお値打ち度。世代遅れの兄弟「Q3」よりお買い得
メルセデスAMG「A45」に“最後の限定車”登場。2.0Lターボは421馬力も…価格は1000万円超え!!
ホンダの高級ブランドが新型SUV「ADX」を発表。クセ強め“アメリカン顔”の衝撃や背景とは?
北米レクサスが販売する3列SUV「TX」は何モノ!? “LBX顔”で実質650万円~…25年モデルに進化
【アルファード/ヴェルファイアはイヤ!】そんな人の選択肢になるかもしれない高級ミニバン「Vクラス」はどんなクルマなのか?
新たな仲間募集、JAFの給水素+給電カー、新型GR86の方向性…S耐最終戦で見えたトヨタと水素の現在地
【SUVだらけでお腹いっぱい】世間に流されず自分らしい車を探し出すための、愛車の「因数分解術」
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!